「三菱兵器住吉トンネル」鉄柵の一部壊される 長崎、兵器工場跡

鉄柵の一部(右手前)が壊された現場=長崎市住吉町

 長崎市は5日、住吉町の被爆建造物「三菱兵器住吉トンネル工場跡」にある2号トンネルの安全対策用鉄柵の一部が壊されたと明らかにした。トンネル入り口に設置している右端の金属製ポール4本が破損し、範囲は縦約70センチ、横約50センチ。市は県警に被害届を出すか検討している。
 市によると、3日午後4時半ごろ、市が委託した施錠確認業者が金属製の柵が折られているのを発見した。同日連絡を受けた市被爆継承課職員が現場を確認し、浦上署に相談。同署員らが実況見分した。トンネル内部の破損はなかった。
 同課の前田一郎課長は、被爆者の高齢化が進み、被爆遺構の重要性も高まっているとし「本当に残念。対応を考える」と語った。市は防犯カメラの設置も検討している。
 トンネル工場は、爆心地から2.3キロに位置し、三菱長崎兵器製作所大橋工場の疎開工場として6本建造された。長さは約300メートル。魚雷の部品を製造しており、被爆直後は故谷口稜曄さんら多くの被爆者の救護場所にもなっていたという。2010年3月から2号トンネルの入り口を一般公開していた。

© 株式会社長崎新聞社