脱炭素事業に対馬市採択 長崎県内初 洋上風力整備目指す

 長崎県対馬市の比田勝尚喜市長は5日、浮体式洋上風力発電によるエネルギーの地産地消を目指す環境省の「地域の脱炭素化ビジネス促進事業」に、同市が採択されたと臨時市議会で明らかにした。採択は県内自治体で初めて。本年度から4年間で対馬沖の風況や地質を民間事業者と共同調査、事業費は国庫から支出される。
 環境省は、2019年6月に閣議決定された政府の成長戦略に基づき、同事業の対象自治体を公募。同市と北海道利尻町、奥尻町、岩手県久慈市、東京都大島町、北九州市の全国6自治体を昨年12月選定した。
 対馬市は19年度から県と共同で「洋上風力発電ゾーニング導入可能性検討事業」に取り組み、地元漁協や海運関係者らから意見聴取。国が関連施設を優先的に整備する「促進区域」への指定を目指している。同市は、今回の環境省の採択が洋上風力発電の促進に弾みとなることを期待している。
 臨時市議会で、同市は脱炭素化ビジネス促進事業費(約2800万円)を含む本年度一般会計補正予算案を提出。比田勝市長は「関係事業者の協力をいただき、政府が進める(50年までの)二酸化炭素(CO2)排出ゼロにかじを切っていきたい」と説明し、予算案は可決された。
 同市しまの力創生課は、取材に「将来的には、発電した電力で水素製造や電気自動車への供給なども促進し、エネルギー関連の雇用創出にもつなげたい」としている。
 一方、同市は補正予算案で新型コロナウイルスワクチン接種態勢確保(約1千万円)や、成人式延期に伴う新成人への特別給付金(約1800万円)の事業費も提案、いずれも可決された。

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