田中将大がチーム合流初日に見せた“気遣い” 伝説のエースが求める脱・特別扱い

楽天キャンプに合流した田中将大【写真:宮脇広久】

若手にとっては伝説のエース「気軽に! 気軽に聞いてください」

8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手が6日、沖縄・金武町で行われている1軍キャンプに合流した。練習冒頭、首脳陣やナインを前に挨拶に立つと「7年間アメリカで野球をやってきて、色々経験してきたこともあるので、気軽に! 気軽に聞いてください」と2度繰り返して強調した。【宮脇広久】

「気軽には聞けないでしょ? だから強調して言ったんですよ」。練習終了後の取材で、そう打ち明けた。何しろ、2013年にはシーズン24勝0敗で楽天を球団創設後初優勝と日本一に導くという伝説を作った。翌年からメジャーきっての名門ヤンキースで7年間活躍してきたのだから、初対面の若い選手にとっては気安く口を聞ける相手ではない。田中将自身にとっても、あまりに神格化され気を遣われるのは、チームの一員として戦っていく上でやりにくいという気遣いもにじむ。

そんな中、当面主な話し相手となるのが、毎オフに一緒に自主トレを行っている松井、辛島、釜田といった“チーム田中”の面々。この日も言葉を交わすシーンか数多く見られた。

サブグラウンドでキャッチボールの相手を務めた長坂健治ブルペン捕手は、かつて田中将が在籍した頃からの古参で、ヤンキース時代にも仙台での自主トレ中に球を受けたことがある。

元同僚の小山伸一郎投手コーチは「違和感しかない」

「毎年オフシーズンには仙台の球団施設を使わせてもらっていたので、球団スタッフの方々とは顔を合わせることが多く、めちゃくちゃ久しぶりという変な気はしない。選手の方が会っていなかった人が多いかな」と田中将は言う。

もう1人、若手の橋渡し役となりそうなのが小山伸一郎投手コーチ。田中将がポスティングシステムでヤンキースへ移籍した頃は、まだ現役の同僚だった。10歳上だが、気さくな性格で、田中将にとっては話しやすい先輩。楽天復帰が決まった直後には、電話で連絡を取った。

小山コーチは「あいつは『コーチ!』とか言って、相変わらず小馬鹿にしている感じだった。そこはキツく、『立場が違うからあまり馬鹿にしないように!』と言っときました」とジョーク交じりに明かした。

一方、田中将は小山“コーチ”については「違和感しかない」と笑わせつつ、「選手としてはいろいろ知っていましたが、コーチとしてはわからないので、コミュニケーションを取りながら、うまく連携していろんなことを進めていけたらと思います」と信頼を寄せた。

石井一久GM兼監督が「僕的には2月中に1度くらいは実戦で投げてほしい」と要望していた件に関しては、「それはもちろん! 投げていかないと間に合わないですから」と請け合った田中将。3月26日の公式戦開幕へ向けて、不安要素を1つ1つ潰していく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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