福士蒼汰が「神様のカルテ」で今伝えたい思い

テレビ東京系で2月15日にスタートするドラマスペシャル「神様のカルテ」(月曜午後8:00)で、主人公・栗原一止(いちと)を演じる福士蒼汰が、本作への思いや見どころなどを語った。

ドラマは、シリーズ累計330万部を記録し2011年と14年には映画化もされた、現役の医師でもある小説家・夏川草介氏による同名ベストセラー小説が原作。信州にある「24時間、365日対応」の病院で働く内科医である一止が、患者や恩師との別れ、地方医療の現実を経験し、患者と正面から向き合い「いい医者とは何か?」を考える苦悩と成長の軌跡を描いていくヒューマンドラマだ。

今回初めて医師役を演じることについて、福士は「難しい医療用語にも苦労しますが、(主人公が)夏目漱石を敬愛していて、その影響でちょっと不思議な話し方をするので、そちらの方が大変でした。いかに今を生きる現代の人間として演じられるかというところが難しいポイントだなと思いました。古風な話し方を強調しすぎてキャラクターっぽくならないようにしつつ、でも個性として見せなきゃいけないという部分を監督と話し合いながら作っていきました」と役どころの難しさに触れた。

さらに、「今回特別だと感じるのは、モノローグがものすごく多いところです。一止がその時の思いを心の中で語りながら物語が進んでいきます。“客観的な視点の思い”と“話している言葉”と“表情”の三つを自分の中で混ぜ合わせて作っていかないといけないので、『この時、何を思っているんだろう』というのは、すごく大事にしながら演じています」と明かした。

変わり者でもある一止の魅力に関しては、「やはり人間的なところが魅力だと思います。作品の本筋でもあるんですけど、驚異的な技術で回復させるところにフォーカスするというよりは、『その人にとってどのような最期を送ることが幸せなのかな?』というのを常に考えているような人なので。『人の最期の幸せは何だろう?』という深いテーマを、ずっともがき苦しんで考えてる男性で、それが彼を作っている。周りからは変人といわれるのですが、でも、なんだか求心力があって、優しい空気をまとっている人かなと思います」と、愛すべきキャラクターを分析。

医師を演じることは「イメージはできなかった」としつつ、「救急に患者さんが運ばれてきた時、お医者さんはどんな処置をしているのかということは全然イメージがつかなくて、現場で医療監修の先生に教えていただきながら学んでいきました。でも幸い、昨年、救急救命士の役を演じさせていただいいて、患者さんを運ぶ側の視点からは見ていたので、そういう意味では分かる部分もありました」と語った。

医師を演じることで、多忙を極める医療従事者の心境にも、思いをめぐらせ、「一止は、患者さんが亡くなる瞬間に思い詰めたり、反省したりするんです。今回の作品を通して、お医者さんは人の命を預かるので、その責任の重さは計り知れないし、言葉では表すことができないくらい難しい仕事だとあらためて感じました。患者さん一人一人と向き合って、自分のことよりも患者さんを優先させる一止を演じて、お医者さんへの感謝の気持ちがより大きくなりました。」と率直に胸中を明かした。

映画化もされている「神様のカルテ」。「原作はもちろん読みました。小説を読んで、脚本を読んで、映画を見たんですけど、(映画では)櫻井翔さんが、一止の苦悩する姿を丁寧演じられているのが印象的でした」と話し、「櫻井さんとは映画『ラプラスの魔女』で共演させていただいたのですが、今回は同じ役を演じることができるということで運命的だなと感じました。僕も、見てくださった方の心に残るような作品にできるように、精いっぱい演じたいと思います」と意気込みを語った。

そして「今回はコロナを背景にした作品ではないのですが、やはり視聴者の皆さんはこちらが意図せずともコロナを意識してしまうと思うんです。こういった状況の中で医療の作品を作るからには、まず『医療の重さ』をしっかり伝えていきたいなと思っています。でも、医師もみんなと同じ人間なので、楽しい時は楽しいし、悲しい時は悲しい。そういう人間的な一面も受け取っていただければと思います。病院の中でのたわいもない看護師さんたちとの会話など、そういったポップな部分も含めて伝えられたらうれしいです」と、終始言葉を選びつつ気持ちを込め、真摯(しんし)にメッセージを寄せた。

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