【世界初】望む結果までの手順を「説明可能な」AI、富士通研と北大が開発

富士通研究所と北海道大学は共同で、AIが自動判断した結果を基に、望む結果を得るために必要な手順を自動で提示できる技術を世界で初めて開発した。

判断の根拠を提示

現在、顔認証や自動運転など高度なタスクが求められるAIシステムに広く用いられている深層学習技術は、大量のデータに基づいたさまざまな判断を予測モデルと呼ばれる一種のブラックボックス的な規則を用いて自動的に行う。

しかし、社会の重要な判断や提案をAIが担うためには、AIシステムの透明性と信頼性の担保が課題となる。このような社会と技術の動向から、データに基づいて自動的に判断するだけでなく、個々の判断理由を提示する「説明可能なAI」と呼ばれる新しいAI技術の研究が盛んになっているという。

上図を参考にすると、AIは入力データの属性を基に健康リスクが高いと判定しているため、健康リスクが低いという望む判断結果を得るためには、これらの属性の値を変えればよいと言える。

リスク改善に必要な手順の提示、および提示までの課題

AIによる自動判断において、望む結果を得るためには、変更が必要な属性を提示するだけでなく、その変更が現実的かつできるだけ小さい労力で変更できる属性を提示することが必要だ。

健康診断の例でいうと、AIによる判断結果をリスク高の現状からリスク低に変えたい場合、筋肉量を増やせば少ない労力で変更ができそうだが、体重を変えずに筋肉量だけを増やすことは非現実的であるため、実際には体重と筋肉量を増やすことが現実的な解であると言える。

また、体重や筋肉量などの属性の間には、筋肉を増やすと体重も重くなるというような因果関係などの相互作用も多く、変更にかかる総労力は、各属性の変更順序に依存するため、属性の適切な変更順序を提示する必要がある。

下の図では、現状から変更2に到達するために、体重と筋肉量のどちらを先に変えればよいかは自明ではないため、膨大な変更点の候補の中から実現の可能性や順序を考慮した上で、適切な変更の方法を見つけることが課題となっている。

属性の変更
(富士通研究所・北海道大学 プレスリリースより)

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