「もともとの膝の使い方、フットワークはあると思います」と本多コーチ
2年連続のリーグ優勝、そして5年連続の日本一を目指す王者ソフトバンクは現在、宮崎市内での春季キャンプの真っ只中にある。7日で終わった第2クールで注目を集めたのは、昨季ブレークを果たした栗原陵矢捕手の「三塁挑戦」。6日のシートノックで初めて三塁に入ると、7日の全体練習後には松田宣浩内野手、増田珠内野手とともに小久保裕紀ヘッドコーチ、本多雄一内野守備走塁コーチによる特守に参加した。
シートノックでも、そしてこの日の特守でも軽快なフットワークで打球を捌いていた栗原。もともとが捕手ということもあって、送球は力強く、そして安定していた。小久保ヘッドコーチも思わず「センスあるな」と声をかけたように、経験がないとは思えないほどの動きの良さだった。
では、ノックを打った本多コーチは三塁手としての栗原をどう感じ、考えているのか。
まず、シートノックと特守の動きを見た上で「キャッチャーのときもサードからファーストの送球はしていましたし、もともとの膝の使い方、フットワークはあると思います」と評価する一方で「ただ球を見る雰囲気、角度だったりはファーストと外野しかやっていないので、サードをやるにあたって数多く受けていかないとその感覚を養わないといけない。その感覚はもっと受けていった方がいいかなと感じましたね」と、やはりまだまだ練習は必要なようだ。
若手内野手についても言及「1軍で経験したことない選手ばっかりなんで、競争に値していない」
生半可な状態では1軍では使えないというのが本多コーチの考えだ。この日も「栗原も技術がないわけではない。栗原はそこそこできるという感じ。ただ、そこそこじゃ1軍では使えないんですよね。ちゃんと確実に1個アウトを取れるプレーじゃないとA組、1軍では使えない。経験のある松田さんは何百回、何千回と受けているので感覚があったとしても、栗原にはまだ感覚はない」と、そこに甘さはない。
レギュラーの三塁手である松田もキャンプでその存在感を改めて感じさせている。その声、姿勢、全てをとって見てもチームに不可欠な存在だ。本多コーチも「スキを与えないというのがミエミエですよね。声出して元気出して、僕も一緒にやってましたけど、入るスキを作らせないというのが彼自身の思いだと思うので、そこは当然そうあるべきだと思いますし、松田さんの気持ちからすると『絶対に譲らない』という気持ちだと思います」と、松田の覚悟も感じ取る。
今年のA組にはリチャード内野手や増田珠内野手、三森大貴内野手ら若手も組み込まれている。競争、競争と注目される一方で本多コーチは「競争という感じでは僕はとってないんですよね。1軍で経験したことない選手ばっかりなんで、競争に値していないと僕は思っています。何年か1軍でやっていれば競争って言えますけど、1軍でまだやっていないので競争すら与えてもらえない」とキッパリと言い切った。
「守備に関しては、その時に言われていくのではなく、準備はしておきましょうよ、という感覚の方がいいかもしれないですね。サード挑戦というんですけど、土台で言えばまだ松田さんの方が上なので、栗原が少しでもそこに、1軍でサードを守れるように近づくための今のキャンプですね」と本多コーチ。果たして栗原がシーズン中にホットコーナーを守る機会は来るのだろうか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)