冬のエアコンはつけっぱなしが得?設定温度は何度が適切か

毎年冬のこの時期になると怖いのがエアコンの電気代。しかも今年はコロナ渦ということで、自宅にいる時間も格段に増え、電気代の請求明細書が届くのが恐ろしい、という方も多いのではないでしょうか。

必要経費とはいえ、月に数万円超えの支出は正直痛手。部屋が暖まったら一度消して、また寒くなったらつけて、こまめに操作して節電? しかし、 夏場のエアコンは、つけっぱなしの方が節電と節約になると聞いたことがあります。では、冬場のエアコンもつけっぱなしの方がお得……?

「エアコン節約術」について総合家電エンジニアの資格を持ち、ご自身も家電量販店に足繁く通っているという“家電スペシャリスト”の本多さんにズバリ聞いてみました。併せて、エアコンの寿命やお手入れ方法もレクチャーしてもらいました。


冬場のエアコン、つけっぱなしが得ってホント?

実は、エアコンは冷房運転よりも暖房運転のほうが消費電力は大きくなります。ですので、誰も居ないお部屋を30分以上つけっぱなしにされるよりは電源を切られたほうが無難かと思います。30分に満たない時間内であれば、電源をつけっぱなしで構わないと思いますので、30分以内と30分以上を目安としてみてはいかがでしょう。室内機と室外機の設置環境や、その日の天候状況、住宅の断熱性、さらにはお出かけされる時間帯(電気代の単価が高くなる時間帯)などにも左右されますので、あくまで目安としてお考えください。

設定温度は何度がベスト?

ひとつの目安ですが、環境省は冬場の室内温度を20度にすることを推奨しています。したがって、室温を20度で設定のうえ、最も適切な風量で作動することができる「自動運転モード」を選択するのがおすすめです。過剰な暖めは電気代の無駄使いに直結します。暖房であれば室内の設定温度を1度下げると約10%の省エネ効果があるとされています。

風向きはどの方向に設定するのがおすすめ?

冬場は下に向ける方がおすすめです。気体は暖められると膨張します。空気も例外ではありませんので、膨張すると密度が低下して軽くなります。ですので、暖められた空気は上昇して天井に向かいます。風向を任意で下に向けると、足元から暖めることができるので、非常に効果的でしょう。

暖房をもっと利かせるための工夫はある?

室内の環境を少し工夫するだけでも省エネ効果を向上させることができます。冬場の室温は窓やサッシなどを閉めていても冷気で低下してしまいます。日照の時間帯はカーテンなどを開けて陽光をしっかり取り入れましょう。逆に、日没後は急激に室温が奪われるので、カーテンなどを閉めて室温の低下を抑制します。夏と違って冬は日が短く、16時を過ぎると陽光で室温を保ち続けることは難しいので時間帯に注意しましょう。

また、窓やサッシに対してカーテンなどが短くて下に隙間が空く場合は、その隙間から冷気が入り込みますので、カーテンなどのサイズにも注意するようにしましょう。

室内機と室外機のお手入れ方法で注意すべきは?

フィルターに埃が溜まると空気の流れが悪くなり暖房効果は低下します。室内機にフィルター自動お掃除機能が備わったものであった場合でも、2週間に1回を目安としてお手入れされることをおすすめします。フィルターに埃が溜まった状態を改善することで、5%から10%ほども消費電力を節減できるという検証データも発表されています。またぜひともフィルターのお手入れを実施してみてください。室外機ですが、こちらのお手入れポイントは2項目あります。

まず、室外機の周りにモノを置かないこと。一般的な室外機は前面部が空気の吹出口となっており、背面部は空気の吸込口となっています。吹出口が塞がれると、排気された冷気が吸込口に向かってしまい暖房効果を著しく低下させて電気の無駄使いに直結します。これは夏の冷房時でも同様となるので充分に注意しましょう。さらに、吸込口から排気される空気が再び吸込口に向かうことをショートサーキットやショートサイクルと呼んでおり、最悪の場合は保護機能が働いて運転を停止させることも考えられます。室外機の周りにはモノを置かず、枯葉などが付着している場合は取り除いてあげましょう。

もう一つのポイントは、室外機を雪に埋もれさせないことです。特に積雪のある寒冷地で気をつけることになりますが、室外機に雪が積もってしまうと、室外機が空気を吸い込むことができなくなり、こちらも最悪の場合は運転が停止してしまいます。雪除けの設備や、強度が約束されている専用設置台などに据えて雪に埋もれない工夫が必要です。大雪の被害を受けることが少ない地域の場合でも油断は禁物。

数年振りの大雪などに見舞われた際は気が付いたら室外機にダメージを受けていたなどということも充分に考えられます。高齢の親族の方々が寒冷地にお住まいの場合には電話などで伝えてあげましょう。


意外や意外。夏場のエアコンより、冬場のエアコンの方が消費電力が大きかったなんて知らなかった方も多いのではないでしょうか。つい後回しにしてしまうお手入れ方法も実践しつつ、より快適なステイホーム時間を満喫しましょう。

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