平戸のレジェンド “還暦ランナー” 末吉範平(県警)「走れるのは栄誉」

県下一周駅伝に過去35回出場、区間賞10個を獲得している末吉(県警)。3月に還暦を迎える=佐世保市内

 3月に還暦を迎える市民ランナー、末吉範平(59)=県警=。県下一周駅伝には35回出場し、昨年もシニア区間ではなく、大学生ら第一線で活躍する選手と一緒に一般2区間を力走した。ふるさとの平戸チームを支え続ける“レジェンド”は「地域の代表として走れるのは栄誉」と衰えない意欲をのぞかせる。
 ランニングは自身のライフワーク。均整の取れた体で、さっそうと風を切る。「やっぱり体形は維持したいのでね」。今も週3回、自宅周辺で早朝に約1時間汗を流す。
 猶興館高時代は相撲部。個人でインターハイに出場した。本格的に走り始めたのは、県警に入ってから。1984(昭和59)年の第33回大会に平戸から初出場。翌年からは勤務先の長崎の選手としてチームに貢献した。
 これまで区間賞10個を積み重ねた。中でも印象に残るのは94(平成6)年、第43回大会の第1日最終11区。その日、トップ争いを続けてきた西彼チーム(当時)に総合タイムで22秒遅れてたすきを受けた。相手は九州一周駅伝にも一緒に出場していた強者(つわもの)。「負けられない」と会心の走りで約16キロを駆け抜け、1分29秒差をつけてゴールした。
 悔しい思い出は90(平成2)年、第39回大会の第2日1区。地元平戸スタートからトップを確信していたが、ラスト1キロをすぎて佐世保チームの高校生の猛追に遭い、2秒差でかわされた。
 99(平成11)年からは再び平戸の主力を担っている。昨年もその前年も、チーム事情から一般2区間を託された。上位には絡めなくても、期待に応えてしっかりと完走。同学年の平戸の小場俊雄総監督(60)=ダイコウ建設=は「ありがたいの一語。平戸だけでなく、大会の宝」と賛辞を送る。
 レースでどんなにきつくても、沿道から「頑張れ」と声援を受けたり、警備に当たる知り合いの警察官らの顔を見ると力がわく。地域に根差すこの大会が、初出場の時からずっと、一番の目標だ。
 この3月、定年を迎える。「県警」の看板を背負っての県下一周ラストランはかなわなかったが「来年も、声を掛けてもらえればぜひ」。頼れる“お巡りさん”の優しい目で1年先を見据える。


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