郡市対抗県下一周駅伝「チーム事情」 総合力に開き 選手集めに苦心のチームも

 第1回は出場7チームで始まった郡市対抗県下一周駅伝。さまざまな変遷を経て、2005(平成17)年の第54回大会から現行の11チームで競っている。人口など地域によって事情は異なり、上位と下位の総合力の違いは歴然。毎年大差がつくため、関係者からは「もっと競り合う形を考えなければ」との意見も上がる。
 昨年は大村・東彼がV2を達成。3日間とも日間首位を譲らず、最終日の女子総合も制する完全制覇だった。全国トップ級の高校生をはじめ、陸自勢、大学生ら充実した陣容で前評判通りの力を発揮した。
 一方、3年連続11位に終わった平戸は選手集めに苦心。メンバーは地元の消防署員ら市民ランナーが主体で、厳しい戦いを強いられた。ふるさと選手ら各人が奮闘したものの、総合タイムで首位から約3時間20分、10位壱岐からも約1時間30分遅れてフィニッシュ。「勝負」の観点で見れば、チーム再編成の必要性も考えられる。
 平戸の小場俊雄総監督(60)=ダイコウ建設=は「近隣の北松・松浦との合併話は出るが、より多くの出走機会を求めて(第27回大会に)北松から分離した経緯があり、相手に受け入れられないのでは…」と明かし「単独でいけるうちは単独でと思うが、将来的にきつくなるのは間違いない」と複雑な思いをにじませる。
 これに対して、北松・松浦の川久保次男総監督(59)=中興化成=は「うちも松浦高頼みになっているところがある。もう一度平戸と一緒になるのは個人的にあり」と合併に前向きだ。その上で「考えないといけないのは、現状で走力だけ見てチーム編成すると、平戸の選手が数人しか入れなくなる。平戸の名前が入ったチームとしてそれでいいのかどうか」と課題を挙げる。
 大会は12(平成24)年にクラス別表彰を導入。前年の1~4位をA、5~8位をB、9~11位をCにクラス分けし、総合の上位3チームに加えて各クラス1位も表彰する制度で、これを励みにするチームもある。
 島原半島は3年前にCクラス落ちし、1年でBクラスに復帰。昨年は「Bクラス優勝」をスローガンに掲げて戦った。結果はクラス3位(総合7位)にとどまったが、竹村一総監督(50)=大平食品=は「目標が明確になれば、一層やる気が出る。来年の記念大会は万全の態勢で挑みたい」と中止になった今年の分まで意気込んでいる。

◎昨年の総合成績

順位 チーム名  所要時間 差   クラス順位

(1)大村・東彼 21時間33分36秒      A-1
(2)長   崎 21時間53分16秒 19分40秒 A-2
(3)佐 世 保 22時間00分53秒 7分37秒 A-3
(4)西彼・西海 22時間04分43秒 3分50秒 A-4
(5)諫   早 22時間06分57秒 2分14秒 B-1
(6)対   馬 22時間12分57秒 6分00秒 B-2
(7)島原半島 22時間18分47秒 5分50秒 B-3
(8)五   島 22時間28分07秒 9分20秒 B-4
(9)北松・松浦 22時間57分55秒 29分48秒 C-1
(10)壱   岐 23時間18分37秒 20分42秒 C-2
(11)平   戸 24時間52分18秒 93分41秒 C-3


© 株式会社長崎新聞社