楽天、田中将大の加入で先発ローテは残り1枠か 仁義なき争いを制するのは誰だ?

田中将大の加入で先発ローテの残りはわずか「1」枠に【写真:荒川祐史】

石井監督は“GM目線”で台頭を望む「実際にみんな30歳を超えてきている」

田中将大投手の8年ぶり復帰で、今季の楽天の先発ローテーションは超豪華な顔ぶれになる。田中将大(日米通算177勝)、涌井秀章(通算144勝)、岸孝之(同132勝)、則本昂大(同85勝)の“四天王”は合わせて通算538勝(メジャーを含む)。最速155キロを誇るドラフト1位ルーキー左腕・早川隆久も有力だ。そうなると、6枚の先発ローテ枠のうち残りはわずか「1」ということに。ボーダーライン上の投手にとっては過酷な状況である。

楽天の沖縄・金武キャンプは、第2クール初日の6日から合流し9日まで別メニュー調整を続けた田中将はともかく、涌井、岸、則本昂の3人は連日ブルペンで意欲的に投げ込み、例年以上に仕上がりが早いように見える。新人の早川のローテ入りについても、石井一久GM兼監督が「オープン戦で結果を出してくれれば、僕たちはそのスポットを用意できる」と明言している。

そんな狭き門の先発ローテ入りを、虎視眈々と狙う投手は数多い。昨季1軍で先発した投手は、涌井、岸、則本昂、抑え転向が決まっている松井を除くと、塩見貴洋(16試合)、石橋良太(13試合)、弓削隼人(10試合)、瀧中瞭太(8試合)、福井優也(7試合)、辛島航(6試合)、藤平尚真(1試合)の7人。

このあたりが今季も先発候補と見られるが、瀧中と辛島以外の5人はキャンプ2軍スタートとなった。その他、昨季途中に巨人から移籍し1軍キャンプに参加している高田萌生も「首脳陣からは『先発で』と言われています」と準備を進めるなど、ハイレベルで過酷なサバイバルが展開されている。

楽天・則本昂大、岸孝之、涌井秀章(左から)【写真:荒川祐史】

辛島「争って勝ち取って6枚そろうのが強いチーム」

プロ13年目を迎えた30歳左腕の辛島の場合は、昨季開幕から7月いっぱいまでは中継ぎ、2軍での調整を経て、9月以降は先発に回った。今季も「先発するつもりで準備はしていますが、状況に合わせて(どちらにも対応する)、という感じです」と言う。田中将とは毎年シーズンオフに自主トレを共にしてきた仲だが、「将大さん1人が戻って来ただけで、メディアの楽天というチームに対する扱い方、注目度が変わった。将大さんは何をしても毎日記事になる。1人で活性化というか……すごいと思う」と改めて実感している。

先発ローテ争いの激化についても、辛島は「争って勝ち取って6枚揃うのが強いチーム。いい選手がそろっていた方が強くなります」と前向きにとらえている。

石井監督は「『4人合わせて何100勝』といわれるのは、裏を返せば既にキャリアを積んだ投手が多いということ。実際にみんな30歳を超えてきている。そういう意味で、早川もそうだが、若い子がどんどん出てこないとダメだと思う」と、“GM目線”で次代を担える若手の台頭を望んでいる。とはいえ、辛島ら30歳前後の中堅も負けてはいられない。仁義なきローテ争いの激化が、チームを8年ぶりのリーグ優勝へ近づけていく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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