憧れの役所広司から感謝と賛辞 西川美和監督「感無量です」と目頭熱く 「すばらしき世界」初日舞台挨拶

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映画「すばらしき世界」の初日舞台挨拶が、11日に都内で開催され、主演の役所広司のほか、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、西川美和監督が登壇した。

「すばらしき世界」は、直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案とし、西川美和が監督・脚本を担当した作品。これまでオリジナル脚本で作品を撮り続けてきた西川監督は、原案小説について「犯罪というものをこういった角度で捉えたことが今までなかった」と視点の斬新さを指摘。小説が発表された時代よりも現代の方が、「人生をやり直す」ことが難しくなってきていると感じ、作品に取り組んだことを明かした。

人生の大半を刑務所で過ごした元殺人犯を演じたのは役所広司。そんな役所と念願の初共演となった仲野は、「役所さんは本当に偉大な俳優さんです。役所さんの目を見ていると目の奥が寂しそうで、それが役所さんなのか三上の目なのか境目がわからなくなっていきました。写し鏡のように役に向き合われるその姿には、役との深い対話と純粋な思いやりがありました。胸が震えて、自分で制御ができなくなることが何度もあった」と、熱い思いを吐露した。

作品タイトルにちなんだ「自分にとって“すばらしい世界”とは?」の質問では、役所が「戦争や紛争がなくなり、地球の二酸化炭素も少なくなって、世界中の子供たちが夢を持てるような世界は素晴らしい」と世界平和を願った。六角と北村は「コロナ禍前の世界」を挙げた。西川監督も、コロナ禍前の撮影の熱気を思い返しながら、「またあの熱気の中で仲間たちと映画を撮ることが出来たら。そんな世界こそ、すばらしい世界だと思います」と語った。

後半では、俳優陣を代表して役所から西川監督へ花束と感謝の言葉が贈られた。役所は「この作品に参加できたことを誇りに思い感謝をしています。次に我々が西川組で働ける日がいつ来るか分かりません。たとえお呼びがかからなくても、我々はひがまずに応援しています(笑)!西川監督は日本映画の中で、なくてはならない才能だと思います。これからの作品を楽しみにしています」と感謝と賛辞を贈った。学生時代から役所に憧れていたことを公言している西川監督は、「感無量です。本当に言葉がございません・・・!」と、目頭を熱くする姿を見せた。

「すばらしき世界」は、直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案とし、西川美和が監督・脚本を担当した作品。初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとにした作品を手がけ、舞台を約35年後の現代に置き換えて、徹底した取材を通じて映画化に挑んでいる。生きづらい社会の中で、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して、社会と人間の「今」を描いている。

すばらしき世界
2021年2月11日全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
©佐木隆三/2021 「すばらしき世界」製作委員会

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