保育士の待遇改善を コロナ禍で増す現場負担 人員配置は変わらず 川崎市に対策要請

保育士の負担軽減を訴える中西教授(左)ら=川崎市川崎区

 新型コロナウイルス感染症の予防策で負担増が続く保育士の待遇改善を求め、川崎市の市民団体らが10日、同市に要請書を提出した。保育士への慰労金支給のほか、コロナ対応のための人材雇用への支援、PCR検査を受けられる体制の整備などを求めた。

 提出したのは、弁護士や保育園関係者らによる市民団体「川崎市保育問題交流会」と、保育士の働き方などを研究する関東学院大の中西新太郎研究室。

 両者は昨年12月に市内保育園207園にアンケートを実施、36園が回答した。結果、感染対策でおもちゃの消毒が複数回必要となったことや、保護者が施設内に入れず園児の服や布団を保育士が管理するなど、業務量が大きく増す現場の現状が明らかになった。一方、人員配置は変わらず、保育士の負担軽減策はないという。

 こうした状況を受け、要請書では、保育従事者への慰労金支給や、保育士増に向けた配置基準見直しに加え、コロナ対策の負担減を求めた。具体的には、感染予防を担う人材雇用に向けた補助金支給や、全保育従事者が定期的に検査を受けられる体制整備など。

 提出前の会見で、中西教授は「コロナ対策は今後も続くことを踏まえ、自治体や政府には対応してほしい」と訴えた。

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