【やまぐち深発見紀行】 No.229「阿知須・手塩にかけて阿知須の味を復活」

▲伝統の「甘辛しょうゆ漬け」(右)と甘さひかえめの「しょうゆ漬け」

 阿知須地域などに伝わる漬け物「寒漬け」。一時、市販品は市場から消えそうになったが、ある女性の手によって復活した。

 「寒漬け」は、冬に収穫した大根をやぐらにつるし、約3カ月冷たい海風にさらす。その後、平らに伸ばし干し上げる作業を繰り返す。さらに、半年以上熟成させ、調味液に漬け込んで出来上がる。

 おいしさの背景には手間と時間がかかり、現在、山口市内で市販品を作っているのは「あぐりてらす阿知須」の1軒という。同所は加工部長の長尾智美さんが中心となって寒漬けの再起を図り、10年前に廃業した「中尾元治漬物店」から譲り受けた器具を使ってふるさとの味を復活させた。「道の駅きららあじす」などで買うことができる。

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