3章構成はクランクイン2カ月前に決定 舘ひろし出演裏話も 「ヤクザと家族」オンライントークイベント

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綾野剛主演の映画「ヤクザと家族 The Family」(劇場公開中)の作り手たちが登場し、作品のテーマや制作裏話を語ったオンライントークイベントが、2月11日に配信サイト「共感シアター」で開催された。イベントには、ゲストとして藤井道人監督と佐藤順子プロデューサーが参加。フリーアナウンサーの笠井信輔と映画評論家の松崎健夫氏が聞き手となり進められた。

制作の経緯について聞かれた藤井監督は、2012年にヤクザのドキュメンタリーを撮る青年の長編映画「けむりの街のより善き未来の」を撮っており、「この人たち(ヤクザたち)は条例が出てどこに行ってしまうんだろうかとか」と興味を抱いていたことを語り、「僕自身『仁義なき戦い』や『孤狼の血』は大好きなんですけれども、同じものをつくりたくはない、自分たちしか撮れないヤクザ映画にチャレンジさせてくれるのであれば、オリジナルでやらせてくれるのであればトライしたい」と、企画がスタートしたことを明かした。

オリジナルでの制作については、「オリジナルの面白さを教えてくれたのが(スターサンズ社長で本作のエグゼクティブ・プロデューサーの)河村さんで、原作でしか企画が通らなければ原作でやるしかないのかなと一時期思っていたが、(河村さんが)頑なにオリジナルにこだわるんですよ」「創っては壊しを平気でやる人なので、そういう意味で河村さんとやるにはオリジナルが一番おもしろいと思いますし、(佐藤)順子さんが一番大変だと思いますが、オリジナル以外でやるという選択はなかったです」と振り返った。

また、もともとは第3章の”今”のみを描こうとしていたが、クランクイン2カ月前に変更となった制作裏話が披露された。藤井監督は「自分の中ではこういう風にしたいなっていうイメージがあって、3代にわたる20年の話にしたい」と伝え、「すぐにロケ地の沼津に飛んで書き始めて、それを綾野さんに渡しました」と、綾野剛が19歳から39歳までを演じることもギリギリのタイミングで決まったことを明かし、参加者を驚かせた。

ヤクザの組長を演じた舘ひろしのキャスティングについてのエピソードも披露された。藤井監督が舘ひろしの出演を希望したが、当初は難しいと思われていた。だが「『西部警察』の時代の世代で昔ポスターとか持ってた」と語る佐藤プロデューサーが、「何度か気合い入れてお話をさせて頂いて、監督の気合いを受け取ったからご本人に脚本読んでもらおうということになって、翌日に返事もらえたんですよ。ビックリしたと。舘さんが脚本読んで、出たいと。すぐに監督に会いたいとおっしゃって下さってお会いしました」と、熱意が実を結んだことを語った。

「ヤクザと家族 The Family」は、1999 年、2005 年、2019 年の変わりゆく3つの時代を舞台に、ヤクザとして生きる道を選んだ男の物語が展開される作品。ヤクザの主人公・山本を綾野剛が演じている。また、山本に手を差し伸べるヤクザの組長・柴咲を、ヤクザ役が43 年ぶりとなる舘ひろしが演じている。他には、尾野真千子、寺島しのぶらが出演している。監督は、第43回日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した「新聞記者」の藤井道人が務めている。

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