九州新幹線 長崎ルート 並行在来線の維持管理費割合 長崎と佐賀が合意

九州新幹線長崎ルート(博多―武雄温泉―長崎)と並行在来線

 長崎県は12日、2022年秋に暫定開業する九州新幹線長崎ルートの並行在来線(肥前山口-諫早)の維持管理費について、おおむね「長崎県2、佐賀県1」の負担割合で合意したと発表した。
 維持管理費を巡っては08年、年間2億3千万円(税抜き)と見込み、両県の負担割合は「長崎2、佐賀1」「災害などで見込み額を超えて増加した費用は折半」と確認。その後人件費や資材費の高騰、保守レベルの向上などで6億6千万円(同)に膨らむ見通しとなり、維持管理を担う一般社団法人の運営費や施設の設備投資費も加わり、約9億円(同)が見込まれるという。
 長崎県の中村法道知事は19年12月の県議会一般質問で「想定されていなかった費用も含め新たな合意を図る協議が必要」と述べたが、佐賀県の山口祥義知事は不快感を示していた。
 長崎県によると、佐賀県と協議を重ねた結果、「当時想定されていなかった経費も維持管理費の範囲内」と今月までに確認。長崎県の担当者は「2対1の負担割合を崩そうと思っていたのではなく、想定外の費用の中身をしっかり精査したかった。その結果、維持管理費に含まれると合意した」と述べた。一部税金の取り扱いは今後協議する。
 一般社団法人は4月、両県が「佐賀・長崎鉄道管理センター」として、佐賀県鹿島市に設立。年間約4千万円の運営費は両県で折半する。運営費を含めた維持管理費の負担割合「2対1」は、22年秋の長崎ルート暫定開業に伴い、JR九州から法人に鉄道施設が無償譲渡されてから適用する。法人が維持管理を担い、同社が開業後23年間は列車を運行する「上下分離方式」で運営する。


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