インディアンとハーレーダビッドソン、「孤高の旅」が似合うバイクを紹介

「ロンサムカウボーイ」などというと、70年代後半にパイオニアから登場し、80年代前半に名優ウォーレン・オーツを起用したコマーシャルなどで話題となったカーオーディオ、「LONESOME CAR-BOY」を思い出す人がいるかも知れません。しかし、今回はそちらではなく、アメリカンバイクに跨がってツーリングに出掛けたいという話題です。


「インディアン」と「ハーレーダビッドソン」

「ロンサムカウボーイ」という、おじさん達にとっては少しばかり懐かしく感じる言葉です。ここで「ロンサム」という単語の意味をみると、寂しいとか孤独など、少々ネガティブな印象の和訳が多くなります。一方で「孤高」とか「至高」といったイメージを抱くこともあり、今回は、こちらの意味で使っています。

「他の人や物とかかわりを持たずに単独でいる様子」からは、ある種のかっこよさを感じます。この言葉を敢えて持ってきた理由はそこにあります。西部開拓時代の猛者であるカウボーイが愛馬に跨がり、果てしない荒野を一人で駆け抜ける。広大なアメリカ大陸を旅するその勇姿から、孤高のライダーへの憧れを思い起こし、さらにはこの世界を覆う閉塞感から、少しでも早く抜け出してツーリング旅に出掛けられるようになりたいという願いも込めてみたのです。

そしてここで重要になってくるアイテムといえば、やはりアメリカンバイクということになります。世界中のメーカーには日本のメーカーだけでなく、欧州メーカーにも“アメリカン”というカテゴリーのバイクが数多くラインナップされています。

そんな中で注目すべきブランドといえば「インディアン」と「ハーレーダビッドソン(以下、ハーレー)」でしょう。すでにアメリカ文化への憧れなどない、という世代が多くなっていることも理解していますが、この2大ブランドがもっている本場物ならではの圧倒的な存在感は、いまも十分に魅力的です。

インディアン「チーフボバーダークホース」

アメリカン・モーターサイクルとして最も古い歴史を持つインディアン、そして圧倒的に高い知名度を誇るハーレーダビッドソン。ここには憧れを抱くにふさわしい魅力的な2021年モデルがズラリと揃っています。そんな中から気になるモデルを少しピックアップしてみました。

インディアンの歴史と特徴

アメリカ初のモーターサイクルカンパニーが「インディアン」です。起源は1897年に設立された「ヘンディーマニュファクチャリングカンパニー」という自転車製造会社です。後に「インディアンモーターサイクル」となり、1921年には同社にとってエポックメイキングな「インディアンチーフ」というバイクを発表し、大躍進します。今年はそのモデルの誕生から100周年ということもあり、意欲的なフルモデルチェンジを行って、チーフシリーズを3モデル発表しました。さっそくモデルを見てみましょう。

まずは「チーフダークホース(227万8,000円~235万8,000円)」ですが、削ぎ落とされたシンプルなミニマルデザインが外見上の特長です。そしてアメリカンならではの伝統的なライディングポジションを肩肘張ることのない姿勢で楽しめる、心地よいライディングを実現しています。

インディアンの中でも気軽な「チーフダークホース」

次に「チーフボバーダークホース(257万8,000円)」です。スポークホイールに太いタイヤを装着し、そのフロントエンドが少々無骨ですが迫力満点。クラシカルなデザインが施されたソロボバーシートなど、大戦後に流行ったクラシックカスタムの雰囲気を持っています。

そして、最上級モデルとしてサドルバッグとウインドシールドを備えた「スーパーチーフリミテッド(287万8,000円)」があります。ロングツーリングにはふさわしい充実した装備によって長距離ライディングに快適性を求めるライダーには、高い満足を与えることになると思います。外観上はクラシカルなアメリカンVツインのマシンですが、シンプルデザインと現在でも十分通用する快適なライディングポジションと、モダンで洗練された機能や装備があります。

サドルバッグとウインドシールドを備えた最上級モデル「スーパーチーフリミテッド」

シリーズに搭載されるエンジンは空冷のV型ツインで、リアシリンダー休止システムもあります。その排気量は1,890ccで、ピークトルクは162Nm/3,200rpmとなっています。トランスミッションは6速、燃料タンク容量は15.1Lです。その他にもLED ライティング、キーレスイグニッション、ピレリのナイトドラゴンタイヤなど、最新の快適装備が搭載されています。さらに驚くのはクルーズコントロールに加えて、ライダーは、スポーツ/スタンダード/ツアーの3つの走行モードの、いずれかを選択することで、スロットルレスポンスを好みに応じて調整できるのです。

クラシカルなスタイルですが、その中身には、どこまでも駆け抜けたくなると最新装備がたっぷりとつまっていました。インディアンにはこのチーフシリーズの他にも、スポーツバイクなど色々と魅力的なモデルが揃っています。ちょっとチェックしてみると新しい発見があるかもしれません。

誰もが聞いたことのあるハーレー

日本において、アメリカンバイクといえばハーレーが筆頭に出てきます。大型2輪免許(排気量無制限)で乗れるライセンスの保有者ばかりか、2輪免許を持っている人たちにとって、ひとつの憧れともいえるブランドでしょう。一昨年の8月に亡くなった名優、ピーター・フォンダが出演していたアメリカン・シネマの「イージー・ライダー」。そこにはレザーのジャケットを着込んでハーレーにまたがるアウトローな男たちが描かれていました。

そこでのハーレーといえば、まさに自由な世界へと誘ってくれる大切な相棒として映っていたのです。多分、日本にハーレヘの憧れが根付いたのは、この映画があったからだと思います。

そんなハーレーも魅力的な2021年モデルをカテゴリー別に5シリーズ、全部で25車種となるラインナップを揃えました。

中でも大型のツアラーと言えば「ツーリング」や「CVO(カスタムビークルオペレーション)」といったシリーズがあります。ただこれは、その雄大さや迫力には魅力を感じますが、ハーレービギナーにとっていささか大きすぎます。価格帯もツーリングは298万7,600円から415万8,000円。さらに最上位シリーズのCVOは480万4,800円から638万円。どちらもボディだけでなく価格もなかなかのものです。

豪華な仕様のCVO(カスタムビークルオペレーション)はハーレーならではの迫力があります

そこでコンパクトで扱いやすいといわれ、日本でも人気の高いシリーズである「スポーツスター」に注目してみて下さい。車体の取り回しばかりか、セキュリティーシステムを標準装備するなど、最新の装備を搭載して、より安心に安全にアメリカンを楽しめる仕様になっているのです。ここには「アイアン1200」、「フォーティーエイト」、「アイアン883」の3モデルが揃えられました。スポーツスターシリーズの価格帯は138万8,2,00円から156万7500円と、ずいぶん気軽に感じてします。

そうは言っても「やっぱりハーレーに乗るなら、ハンドルが大きく上に跳ね上がったチョッパータイプが欲しい」となれば「ソフテテイル」というシリーズが魅力的です。このシリーズにはハーレーの魅力を身近な存在とした「ストリートボブ114」とか「ファットボーイ114」というモデルが用意されています。価格帯は175万4,500円から294万3,600円。大人の趣味バイクとすれば納得の価格帯ではないでしょうか。

ソフテイルシリーズにあるチョッパータイプのハンドルの「ストリートボブ114」

さらにもうひとつのトピックとしてはハーレー初のアドベンチャーモデルとして「パンアメリカ」が用意され、日本への導入が予定されていることが挙げられます。一見、ハーレーのイメージは希薄ですが、一方で新世代の選択枝として、こちらも魅力的です。

密を避け、一人でロングツーリングを楽しみ、ソロキャンプで夜を過ごす。まるで荒野を旅するロンサムカウボーイ。少しでも早く、気兼ねなくそんなツーリングに出掛けたいものです。

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