教科書のデジタル化が進められているなか、教育現場からは不安の声が上がっている。
文部科学省が先月27日に行った「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」で、2024年度以降に小中学校の教科書を紙とデジタルの併用とするなどの選択肢を並べた中間まとめ骨子案を示した。中間まとめは3月までに策定する見通しだという。
デジタル教科書は、紙の内容を端末に表示したもので、2018年の学校教育法の一部改正により19年度から紙の教科書に代えて使用できるようになった。画面への書き込みや消去が簡単なうえ、大事なところは拡大表示したり、音声で読み上げたりできるため、読み書きが困難な子供の助けとなる点などが利点として今回の骨子案で挙げられた。
コロナ禍においては、自宅でも学習することができる端末を使った学習方法が注目を集めたが、こうした取り組みについて教育現場の教員らからはさまざまな声が上がっている。
ある中学校教師は「デジタル化にあたり、まずは端末の使用方法を教員が学び、生徒に教えられるようにならなければならない。もしも生徒が端末の操作トラブルなどを起こした場合も教員が対応することになる。システム担当など専門分野の業者を配置するなどして、教師の専門外の業務が増えないような対応もしてほしい」と訴えた。
授業以外に部活動の指導など、長時間労働も問題視されている教員らに、負担が加わらないような配慮が必要となりそうだ。