乙武洋匡氏が感じる東京五輪・パラ「開催か中止か」二元論の危うさ

取材に応じた乙武洋匡氏

東京五輪・パラリンピックは果たして開催できるのか? 日本国内でも賛否が分かれているが、作家・乙武洋匡氏(44)が見解を語った。

乙武氏は「開催か中止か」という二元論で語られてしまっていることに、議論の危うさを感じているという。

「みなさんが言っている『開催か中止か』が、今まで通りでの開催という形にイメージが固まってしまっている気がします。最近、ようやく叫ばれるようになってきた無観客での開催、私が提案させていただいた分散開催とか、いま密を避けなければならない状況のなかで、開会式などを含めて密になるものは、どうしても開催しがたい状況だと思います」

そうした中で、従来とは違う形での開催について話し合うことが必要だと感じている。

「日本中の知恵、もっと言えば世界中の知恵を結集させて、こういう時代にフィットした開催の仕方というものを新たに模索していけないだろうか、という方向での議論が、もう少しなされるべきなのかなと思います」

さらに「長い歴史が続いていけば、こういった疫病、感染病に世界中がさらされる中でオリンピック開催の時期とぶつかるということも当然、考えられるわけです。そのときに『東京大会、あれ、素晴らしいやり方だったよね』と、後世の人々が参考にしてくださるような、そういう大会にできるチャンスがあったと思う。しかしこの1年、そういった議論が進んだ形跡があまりないのが、ちょっと残念かなと思います」と話した。

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