サイン会で原作者に「映画化したい!」と直談判 熱意実った作品公開 「あのこは貴族」岨手由貴子監督

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異なる階層に生きる2人の女性を描いた映画「あのこは貴族」の公開直前イベントが15日に都内で開催され、門脇麦、水原希子、石橋静河、山下リオ、岨手由貴子監督が登壇した。

「あのこは貴族」では、門脇と石橋は東京出身のお嬢様を、水原と山下は地方出身で共に東京に上京した経験を持つ友人同士を演じている。それぞれが役作りなどについて語った。

箱入り娘・華子役の門脇は、「お嬢さんと一言でいっても、いろいろなタイプがいる。華子は古風な印象があったので、その方向性で衣装も決めました。自我と自意識がさほどないという性格を表すために、印象に残らないような印象の服装を意識しました」と、衣装へのこだわりをみせた。

地方から上京し、自力で生きる美紀役の水原は、「私も憧れを持って上京したので、心境的にも美紀と通ずる部分があって、気持ちがリンクする瞬間もありました。ここまでリラックスしてお芝居をしたことがないと思うくらい、貴重な体験であり素敵な役柄でした」と、役柄への共感を語った。

華子の学生時代からの友人でバイオリニスト・逸子役の石橋は、「バイオリンの練習を1カ月ほど毎日やって、首が痛くなりました」と苦労をにじませつつ、「撮影本番では、1ミリでも指がズレると正しい音が出ないような高級なバイオリンを弾くことになりました。難しかったけれどそれがすごく楽しくて、このバイオリン欲しいなと思ったりしました」と、バイオリンに開眼したことを明かした。

美紀の友人・平田役の山下は「相手役が希子ちゃんだからこそ出た空気感もあって、やりやすかった」と、プライベートでも友人関係である水原への信頼を見せた。

岨手監督は、山内マリコの原作について、「自分の知らない世界と共感できる世界が同時に描かれているのが魅力的な小説」と語り、「サイン会に並んで山内さんに『映画化したい!』と直談判しました。ほかの監督に渡したくない、自分で映画化したいと思って実現した映画です」と、並々ならぬ想いが実を結んだことに感無量の様子だった。

「あのこは貴族」は、異なる階層に生きる2人の女性が人生を切り開く姿を描いた、山内マリコの原作を映画化した作品。榛原華子を門脇麦、時岡美紀を水原希子が演じている。また、良家の生まれの弁護士・青木幸一郎を高良健吾が演じているほか、石橋静河、山下リオらが出演している。監督は、初のオリジナル長編作品「グッド・ストライプス」で新藤兼人賞金賞を受賞した、岨手由貴子が務めている。

あのこは貴族
2021年2月26日(金)全国公開
配給:東京テアトル/バンダイナムコアーツ
©山内マリコ/集英社・『あのこは貴族』製作委員会

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