DeNA仁志2軍監督ノーサインで初陣白星 二盗失敗、牽制死も若手を褒めた理由は?

DeNA・仁志敏久2軍監督【写真:荒川祐史】

現役引退後初めてNPB球団復帰、白星スタートも

就任1年目のDeNA・仁志敏久2軍監督は15日、初の対外試合となる社会人・沖縄電力との練習試合を沖縄・宜野湾市で行い、5-2で初采配を白星で飾った。巨人、横浜(現DeNA)でゴールデングラブ賞に4度輝くなど名二塁手として鳴らした男が、2010年の現役引退後初めて指導者としてNPB球団に復帰。その指導力に関心が集まっている。

勝利の瞬間、仁志2軍監督はまず周囲のコーチ陣、さらにグラウンドから戻ってくる選手1人1人へ向けて拳を突き出し、“エア・グータッチ”を交わした。

指揮官デビュー戦はノーサインだった。「僕からはほとんど指示を出さずに試合に臨みました。もっと思い切って、のびのびとプレーしてくれてもよかったのですが、なんとか自分たちにできることをやろうとする姿はありました」と満足げにうなずいた。

1、2軍を問わず、今季のDeNAの大きな課題の1つとなるのが、チーム盗塁数をいかに増やすか。昨季は両リーグ12球団で最少の31で、そこからチームトップの14盗塁を稼いでいた梶谷隆幸外野手が巨人へFA移籍してしまった。

「全く走ろうと思わない選手は、牽制に引っかかることもない」

この日のDeNA2軍は、1軍での実績も豊富な桑原将志外野手、3年目の知野直人内野手が1度ずつ二盗に失敗。高卒2年目・19歳の田部隼人内野手は牽制球に刺された。

しかし、仁志2軍監督は田部を叱らなかったという。それどころか、「褒めたというと変ですが、『一歩、進歩したんじゃないの?』という話はしました」と明かす。「(田部は)これまで走塁に関しては意欲的なタイプではなかった。そういう選手が走ろうという雰囲気を出して、投手にたくさん牽制させて、アウトになるくらいリードを取っていた。全く走ろうと思わない選手は、牽制に引っかかることもないですから」と評価した。

盗塁失敗についても、「(ノーサインで)自分の意志による盗塁ですから、こういうことを重ねていけば、どのタイミングで走れるのか、この投手にはどういう癖があるのかを観察する習慣ができてくる。これからも続けていこうと思います」と前向きにとらえている。

もともと盗塁への意識が薄く、技術もない選手の失敗を咎めても意味はない。仁志2軍監督は、NPB球団で指導者を務めることこそ初めてだが、指導経験そのものは多彩かつ豊富だ。侍ジャパンのトップチームのコーチのかたわら、2014年から20年まで7年間に渡り、小学生年代の侍ジャパンU-12の監督を務めた。レベルを少しずつ押し上げていくには、最適な指導者といえるかもしれない。2歳下の三浦大輔1軍監督とのコンビで、昨季Bクラスの4位に沈んだDeNAをどう立て直すか楽しみだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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