【MLB】現役最強トラウトが移籍を志願しても「責められない」 エンゼルスの“努力不足”を米TV局指摘

エンゼルスのマイク・トラウト【写真:AP】

巨額契約のロッキーズからカージナルスにトレード移籍したアレナドを例にあげている

大谷翔平投手が所属するエンゼルスが低迷から抜け出せない。ポストシーズンに出場したのはア・リーグ西地区を制した2014年が最後。シーズンMVPを3度受賞し、現役最高の選手と称えられるマイク・トラウト外野手を持ってしても上位進出がままならない。そんな現状を憂いたのか、米TV局CBSスポーツは「トレードを要求するかもしれない選手」の1人にトラウトを挙げている。

「CBSスポーツ」は、ノーラン・アレナド内野手が今オフ、ロッキーズからカージナルスにトレード移籍したことに言及。2019年2月、ロッキーズと2026年まで8年総額2億6000万ドル(約272億9000万円)の大型契約を結んだが、補強への消極的な姿勢に不満を募らせ、自らトレードを望んだとしている。

「球界には間違いなく他にもトレードを望んでいる選手がいる。所属球団の方向性に不満を募らせているかもしれないし、同じポジションの選手に出場機会を奪われているからかもしれない。もしくは自宅に近いチームに行きたいと思っているかもしれない。選手が放出を望む理由は数えきれないほどあるが、彼らがそういった要求を公にすることはかなり稀だ」とした上で、アレナドのようにトレードを要求したとしても間違いとは言えないとする4選手を挙げている。記事はまた「トレードを要求すべきだと言っているわけではない。彼らがトレードを要求したとしても納得できるということを言いたいのだ」と強調している。

トラウトは「トレードを要求しても私は納得できるよ」的選手の象徴だという。唯一出場したポストシーズンは2014年のア・リーグ地区シリーズで、ロイヤルズに3連敗を喫して敗退。2016年からは勝ち越したシーズンが1度もない。2019年3月に12年総額4億2650万ドル(約447億6400万円)の超大型契約をエンゼルスと結び直したが「アレナド同様に、優勝争いできるチームを作ることに対する球団の努力不足に失望する権利を全面的に持つ」としている。

エンゼルスは昨季、アンソニー・レンドンという大物内野手を補強した。しかし、ここ数年の投手補強は十分ではなく、良かったのは昨季加入したディラン・バンディくらいだと指摘する。

トラウトをポストシーズンに出場させるのが「球界の成功の利益になる」とも

今季のア・リーグ西地区は混戦が予想されている。アストロズはジョージ・スプリンガー外野手がブルージェイズに移籍、トミー・ジョン手術を受けたジャスティン・バーランダー投手の復帰は2022年の見込み。昨季を制したアスレチックスも後退しており、優勝を狙える地区であるのに今オフの補強は「それだけか?」と疑問を呈している。

トラウトは以前からポストシーズン出場が最も重要だという趣旨の発言をしている。8月には30歳になり、球界最高の選手としてのキャリアも後半に差し掛かろうとしている。

「トラウトが球団に対して不満を募らせ、放出を望んでいたとしても彼を責めることは全くできない。トラウトを毎年ポストシーズンに出場させることは球界にとっても最高の利益になるだろう。もしかしたら、野球界のためにもトラウトの代わりにMLBがトレードを要求すべきかもしれない」と記事は主張。トラウトは「同世代で一番」というレベルではなく「一生に一度見られるかどうかという選手だ」とも指摘している。

トラウト以外には以下の3選手が紹介されている。

〇ミゲル・アンドゥハー内野手(ヤンキース)
2018年に大谷と新人王を争った。三塁にジオ・ウルシェラ、一塁にルーク・ボイト、左翼にクリント・フレイジャー、DHにはジャンカルロ・スタントンがいる。ヤンキースで出場機会を得る道筋が見えない。

〇ホセ・ラミレス内野手(インディアンス)
同じア・リーグ中地区のツインズやホワイトソックスが補強を進めているのに対し、インディアンスはチームの顔であるフランシスコ・リンドーア内野手やクラブハウスのリーダーだったカルロス・カラスコ投手を放出するなど弱体化。「あなたがラミレスだったら、クリーブランドに残りたいと思うだろうか?」としている。

〇トレバー・ストーリー内野手(ロッキーズ)
2021年オフにFA権を取得予定。アレナドの件を目の前で見て長期契約を望むとは考えにくい。ストーリーがトレードを要求することはロッキーズにとってもメリットがある。FAで他球団に移籍するのであれば、トレードで誰かしら獲得しておいた方がいい。(Full-Count編集部)

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