【新日本】NEVER新王者・棚橋弘至がベルトを腰に巻かない理由

棚橋(左)はガウン姿でオーカーンに襲いかかった

28日の新日本プロレス大阪城ホール大会でグレート―O―カーンとの初防衛戦に臨むNEVER無差別級王者・棚橋弘至(44)には「ベルトを腰に巻かない理由」がある。1月30日名古屋大会で同王座初戴冠を果たし、新王者として迎えたシリーズではベルトを手に持って入場する。その行動の裏に秘められた思いとは――。

棚橋は当初、1月4日東京ドーム大会で下したオーカーンの挑戦を「腑に落ちない」と主張。だが再戦が決まり「最初は『なんでだよ』と思ってたんですけど。コロナと一緒で、決まったことは『なんでだよ』とは言ってられない。受け入れて、それでも前に進む。こうやって生きていくしかねえんだよっていうね。返り討ちにして『もう挑戦しません』みたいな誓約を書かせますよ」と気持ちを切り替えた。

一方で新王者としての立ち居振る舞いには着目すべき点がある。合流した14日開幕のシリーズでは、まだ一度もベルトを腰に巻いていないのだ。入場時に着用するガウンは、ベルトを巻くためにあえて腹の部分があいている。その“指定席”にNEVER王座が収まっていない理由の一つが、盟友・柴田勝頼(41)からの助言だ。

「言われましたよ。『棚橋君には(腰に)巻いてほしくない。棚橋君が狙うべきはIWGP(ヘビー級王座)だから』って。柴田さんはそういう理由でアドバイスしてくれたんですけど」。柴田もNEVER王者時代は一度もベルトを腰に巻かなかった。その思いに棚橋も共感したという。とはいえ最初から「巻かない」とかたくなに決めつけているわけではない。

「みんなが納得する気持ちで巻きたいと思っているので。NEVERを巻くことによって進むべき方向が見えたら、誇らしげに巻きます。なんとなく石井(智宏)選手、柴田さんのイメージがあるじゃないですか。全部を変える必要はないですけど、新しいNEVERの行き先が見えるまでは巻かないです」

柴田の言葉を受け止めた上で、防衛ロードを通じ独自の王者像とベルトの可能性を探っていくつもりだ。そのためにも道半ばどころか、ある意味スタートラインにすら立っていないのに王座を失うわけにはいかない。

「なんのために取ったのかという問題になってきますから。最終的には石井選手を迎え撃ちたいですね。新NEVERと旧NEVERの戦いというか。例えばですけど、そういうプランはあります」と気持ちを引き締めた棚橋は、16日の後楽園大会では6人タッグ戦で前哨対決。オーカーンにフライングクロスボディーを決めるなど好調をアピールし、まずは大阪城決戦に集中した。

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