【新型コロナ】神奈川でもワクチン接種開始 まず医療従事者向け

新型コロナウイルスワクチンの接種を受ける医療従事者=17日午後4時45分ごろ、川崎市中原区の関東労災病院

 国内初の新型コロナウイルス感染症ワクチン接種が始まった17日、神奈川県内でも医師や看護師ら医療従事者が米ファイザー製ワクチンの接種を受けた。先行実施は国立病院機構や労働者健康安全機構などの4病院。関東労災病院(川崎市中原区)で注射を打った並木淳郎副院長は「身を守り社会を守る手段が日本で使えるようになった。感染を封じ込める期待感が得られるスタートに立てた」と語った。

 同病院には、零下約85度の超低温で保管された196本のワクチンが午後0時50分ごろ到着。薬剤部の冷蔵庫で解凍し、約3時間後に接種会場に移された。接種医は問診票を確認した上で診察し、医師や看護師ら6人の腕に注射。接種後は腕を押さえ、15分間経過観察した。これまでに副反応などの異常は見られないという。

 接種後、並木副院長は「痛みはあまり感じなかった。リスクが高い現場で仕事をしている看護師らは、自分を守りながら患者の治療に専念できる」とワクチン接種の意義を強調した。

 先行接種の対象となった県内の4病院は、同病院のほか横浜労災病院(横浜市港北区)、国立相模原病院(相模原市南区)、相模野病院(同市中央区)。

 横浜労災病院では同日午後2時ごろ、1100人分のワクチンが搬入された。18日から3月下旬まで、希望者184人が接種を受ける予定という。接種後のデータは安全性の分析に生かされ、接種者は1回目の接種から2回目の接種後4週間が過ぎるまでの計7週間にわたり、体温や倦怠(けんたい)感の有無などの健康状態を毎日記録して厚生労働省に報告する。

 平澤晃副院長は「ワクチンによって医療従事者が守られる」とした上で、「新型コロナへの対策が一歩前進した。一般の方も安心して接種できるようになってほしい」と期待を込めた。

 医療従事者の次に優先される65歳以上の高齢者への接種は4月以降になる見通しで、県内の各自治体が準備を進めている。

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