中日・京田は「上手いから端折っちゃう」 “名手”荒木コーチと築くGG賞の土台

中日・荒木雅博内野守備走塁コーチ(左)と京田陽太【写真:小西亮】

荒木コーチとマンツーマンでゴロ捕球「もう一度、基本の形を」

ごくごく平凡なゴロを、黙々とグラブに収めていく。中日の1軍春季キャンプが行われている「Agreスタジアム北谷」の屋内練習場。中日の京田陽太内野手は、荒木雅博内野守備走塁コーチとマンツーマンで個人練習に没頭した。途中休憩も挟みながら約2時間。体に染み込ませるように、動作を繰り返した。

ゴロを打った荒木コーチから声が飛ぶ。「入るまで速く」「捕るときはゆっくり。我慢しろ」。打球が打たれた瞬間、バウンドを見ながらゴロとの“合流点”まで素早く入り、捕球時は止まってグラブを差し出す。この一連の動きを続けた理由を、京田が説明する。

「最近、捕球する時に体が流れる悪い形になってしまっているので、しっかり練習できる日にもう一度、基本の形を意識して練習しました」

入る、捕る、投げる、のひとつずつの動きを丁寧に見直す。荒木コーチに言わせれば「上手いからひとつ端折っちゃう。だから時々ミスが出る」。2004年から6年連続でゴールデングラブ賞を獲得した名手の言葉は重い。

課題は打撃も…土台は守備、根尾との対決構図に「僕が打たないんでね」

課題の打撃に目が行きがちな今キャンプ。確かに、立浪和義臨時打撃コーチとバットを振る時間も多いが、荒木コーチと向き合う時間も大切にする。ルーキーイヤーの2017年から遊撃のレギュラーを務められている土台は、間違いなく守備にある。

年々と成長の手応えを感じ、球界でも指折りの存在と呼ばれるまでに。名手に贈られる「ゴールデングラブ賞」は2年連続で巨人・坂本勇人の後塵を拝したが、京田優位を示すデータ指標もある。自身は「絶対にゴールデングラブ賞を獲りたいとはあまり思わなくなってきましたかね」と言うが、“3度目の正直”に向けた土台は着々と築きつつある。

周囲では、遊撃での勝負を宣言した根尾昂との“対決”の構図ができている。4年間レギュラーを担ってきた自負は表に出さず「僕が打たないんでね」と頭をかく。ただ、思った以上に「vs.根尾」の意識はない。「どれだけ上手くなれるか」「ピッチャーに信頼されるか」が脳内を占めている。

「今までで1番ってくらいノックを受けているかもしれませんね」。充実の日々は、表情を見れば分かる。本格的に実戦に入っていくのは、20日の第5クールから。もう一段階高みに達した姿を、遊撃で見せていきたい。

【動画】荒木コーチ指導の下、捕球の基本動作を繰り返す京田

【動画】荒木コーチ指導の下、捕球の基本動作を繰り返す京田 signature

(小西亮 / Ryo Konishi)

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