医療従事者の「観察日誌」詳細が判明 コロナワクチン接種開始で

新型コロナウイルス感染症対策の“切り札”として、2月17日から医師や看護師などを対象にワクチン接種が日本国内で始まりました。いよいよ始まったワクチン接種ですが、安全性を調査する方法は「観察日誌」を使うことが明らかになっています。どのようなものなのかまとめました。

ワクチン接種はまず、医療従事者4万人への先行接種から始まります。1回目の接種から3週間以降に2回目のワクチン接種をすることになっているので、2回目の接種は3月10日から行われる予定です。今回の先行接種では安全調査のため、4万人のうち2万人の医療従事者が「観察日誌」を記入することになっています。期間は1回目、そして2回目の接種を終えてから4週間後までの合わせて7週間です。

観察日誌はデジタルツールではなく、紙に記入することになっています。観察日誌では一体どのようなことをチェックするのでしょうか。入手した実際の用紙を見て、確認していきます。

記入内容は「接種部位の症状」と「全身の症状」に分かれていています。「接種部位の症状」については、まず「腫れがあるかどうか」、腫れがある場合には定規で腫れの大きさを測ります。他にも、しこり、痛み、赤み、熱い(=熱を持っているか)、かゆみという項目があり、症状の重さも3段階で記入できるようになっています。かなり細かくチェックする印象です。一方「全身の症状」については、倦怠(けんたい)感・頭痛・鼻水の項目に分かれていて、こちらも症状の重さは3段階で記入できます。また、これ以外の症状が出た場合に、自由に記入する欄もあるということです。

こうしたチェックは接種から10日間にわたって記入することになっていて、10日目以降も症状が続く場合は症状が消えた日を記入することになっています。これらのデータをそれぞれの医療従事者に紙に記入してもらい、各医療機関がまとめたものをシステムに入力し、厚生労働省の研究班がデータを分析、公表する流れとなっています。公表について厚生労働省の担当者は「時期はまだ決まっていないが、中間報告など適宜公表していく予定」としています。

この調査によって得られるデータは、今後のワクチン接種に向けてとても重要なものになっていきそうです。その一方で、接種対象が今後増えていった際、ワクチンや注射器の確保、接種体制についてはまだ不透明です。地域によって接種格差が出ることがないよう、綿密な連携が期待されます。

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