低空飛行の巨人・陽岱鋼に忍び寄る“放出危機”高額年俸のFA戦士に厳しい声

三振してベンチに下がる陽岱鋼

いよいよ崖っ縁か――。巨人・陽岱鋼外野手(34)がもがき苦しんでいる。キャンプインから実績組主体の「S(スペシャル)班」で調整を行ってきたが、一軍本隊と合流後は若手主体の練習試合に2試合連続で出場。結果はトータルで5打数無安打、4三振と散々で、低空飛行がこのまま長期化すれば“放出危機”にもさらされかねなくなっている。

まだまだ物足りない。18日の中日戦(那覇)では試合前に原監督が直接指導した北村にソロアーチこそ飛び出したが、若手主体で臨んだ前日17日との2試合で得点はこの一発のみ。指揮官の表情が晴れるわけもなく「今日は1点取りましたけど、もう少しS班がドキドキするようなね。たぶん、S班はアグラかいて笑っているんじゃないかなと。もう少し突き上げというかね。S班を脅かすようなプレーをもっと出してほしいな」と奮起を促した。

ただ、主力やベテランを中心に構成され、ある程度のマイペース調整が認められてきたS班でも気がかりなのが陽岱鋼だ。前日は「3番・中堅」で先発出場し、2打席とも中途半端なスイングで空振り三振。この日は指名打者としてスタメンに名を連ねたが、打順は8番まで“降格”となり、1打席目はワンバウンドの球をハーフスイングして空振り三振。その後も三ゴロ、見逃し三振で計5打数無安打、4三振となっている。

そもそも、S班だった坂本らのレギュラー組が本格的に実戦に入るのは21日か22日に予定される紅白戦から。プロ16年目の陽岱鋼が若手に交じって練習試合に出場していること自体が、チーム内での立ち位置を物語っている。もちろん、実戦は始まったばかりで挽回する余地は残されているが、チャンスはそう多くはない。どうにか打開策を見いださなければ、いよいよ立場が危うくなっていきそうだ。

というのも、陽岱鋼は2016年オフに日本ハムからFA加入。6年契約との情報もある一方で“公称通り”の5年であれば、今季で契約最終年となる。ただ、5年でも6年でも球団内からの風当たりが以前から強まっているのが現状だ。毎年のように故障に泣かされてきただけでなく、好不調の波が激しく、首脳陣も起用法に四苦八苦。原監督も昨季中に「スタート(スタメン)で出てくるようでないと位置づけは難しい」とピシャリとやったこともあった。

それだけに、球団関係者からは昨年も「年俸3億円(推定)に見合った活躍には程遠い。支配下の枠が埋まるような状況になったりすれば(契約年数内の)年俸を払ってでも外に出すこともあるかもしれない」と辛らつな言葉まで飛び出したほどだった。

自らも「後がないという考えしかない」とただならぬ危機感を口にしていた陽岱鋼。特に高額年俸となるFA戦士に向けられる視線は厳しい。この日の試合後は野手陣が練習を終えた後も1人で室内練習場に居残り、一心不乱にバットを振り続けた。こうした努力が実を結ぶのか。まだキャンプ中とはいえ、正念場だ。

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