【新型コロナ】「ギョーザ自販機」藤沢の老舗中華料理店が導入 1年かけ実用化

デザインを独自仕様にした「冷凍餃子自動販売機」を導入した大新の葛山社長=藤沢市

 神奈川県藤沢、茅ケ崎、鎌倉市内で3店舗を構える地元の老舗中華料理店「大新(たいしん)」が、ウィズコロナ、ポストコロナ時代に対応した非対面・非接触型の新たな販売様式に乗り出す。

 先駆けとなるのが、冷凍ギョーザと春巻きの自動販売機の導入。1年がかりでカスタマイズし、22日から販売を開始する。葛山晶和社長(62)は「試行錯誤の日々だが、アイデアを巡らすのは楽しい」と意気込んでいる。

 同店は1973年、藤沢駅南口で創業。ひき肉のあんかけが載った「大新ラーメン」は藤沢のソウルフードとも称される。

 2代目で事業の内容や規模の拡大に努めてきた葛山社長は、新型コロナウイルス感染拡大で店舗への来店を控える客が増える中、非対面・非接触型の販売ができないかと検討してきた。

 国産の新鮮素材を使った人気メニューのギョーザなどを自動販売機で提供する方法を着想した。「作りたてのギョーザを急速冷凍、真空包装するのが最適。自販機の導入など販売方法の多様化は従業員の雇用を守ることにもなる」

 葛山社長が自販機メーカーと商談を始めたのは1年ほど前。導入に向けテストを重ね、群馬県内の工場に何度も足を運んだ。特に苦心したのは箱のサイズ。「当初は自販機の仕様に箱の寸法が合わず、取り出し口まで降りてこなかった。数センチ単位の調整を重ね、ようやく適正なサイズを実現した」

 完成した「冷凍餃子(ギョーザ)自動販売機」は高さ約1.8メートル、幅約1メートル、奥行き約80センチ。1箱30個入りの冷凍ギョーザ40箱と1箱12本入りの冷凍春巻き10箱の計50箱を常備する。自販機の外観は、人目を引くよう赤を基調にギョーザの完成品の写真と中華模様をあしらった。ギョーザの入った箱も贈答用にもできるように高級感を出した。

 自販機は当面、本社工場(藤沢市石川)の敷地内に設置。1日10箱の販売を目標に売れ行きの動向を踏まえながら、各店舗への導入拡大を目指す。葛山社長は「コロナ禍の現実と向き合いながらテークアウト需要に応え、これからもこだわりの味を家庭でも楽しめる方法を検討していきたい」と話している。

 冷凍ギョーザ(30個入り)、冷凍春巻き(12本入り)ともに千円。問い合わせは、大新本社工場電話0466(86)2933。

© 株式会社神奈川新聞社