福岡・博多を拠点に活動するアイドルグループ「HKT48」が20日、劇団ノーミーツ(東京)とタッグを組んだ「オンライン演劇プロジェクト「HKT48、劇団はじめます。」(以下、劇はじ)の公演をスタートさせた。
劇団ノーミーツのサポートを受けて昨年10月に発表された同企画は、メンバーが「ごりらぐみ」「ミュン密」の2つに分かれ、出演はもちろん、企画、プロデュース、脚本、演出、広報などすべてを担当している。
同劇団プロデュースのオンライン劇場「ZA」で、2つの劇団がそれぞれ上演する「不本意アンロック」と「水色アルタイル」がこの日、初日を迎えた。
コロナ禍でエンタメ界が大きなダメージを受ける中で、模索された新たな試み。メンバーやスタッフは顔を合わさず、オンライン上の「フルリモート演劇」となる。
昨年5月、劇団ノーミーツ制作の初の長編オンライン演劇「門外不出モラトリアム」が公開された。HKTの田島芽瑠(21)が自らオーディションを受けて出演し、今回のプロジェクトが生まれるきっかけになったという。
「第0話」と題された“劇はじ”上演前に公開されたドキュメンタリー動画で、田島は「48グループ自体がもう後退していると思われてるけど、その中で『がむしゃらに前に進もうとしているやつらもいるんだ』というのを見せつけたいですよね」と胸の内を明かす。
指原莉乃(28)らが卒業し、中心メンバー・宮脇咲良(22)と矢吹奈子(19)は、日韓ガールズグループ「IZ*ONE(アイズワン)」への期間限定加入で、HKTとしての活動を一時休止している。
松岡菜摘(24)は「『どうする?』って感じではありました。センター候補というか、エース候補が何人もいなくなったので…」と当時を回顧。神志那結衣(23)は「動員数の少なさとか。そこから現実を初めて見たというか」と、改めて指原らの抜けた穴の大きさを振り返る。
そんな中で降りかかったコロナ禍。“会いに行けるアイドル”を掲げるグループは活動を制限される事態に陥った。さらに、AKB48は昨年末のNHK紅白歌合戦に落選。48グループはステージから姿を消した。
田島は「いま自分ができることを最大限に頑張っていかないと、このままじゃ普通に終わる」と危機感を持つ。紅白出場するなど全盛期を知るだけに、「それを味わっているメンバーは、今は危機感というか『これじゃダメだ』って思っている人が多いと思う」と明かした。
そんな葛藤の中でたどり着いた答えの一つが、今回の「劇はじ」。田中伊桜莉(18)は「HKTを知らない人も見ていただけるんじゃないかなとも思うので、『こういうこともできるんだよ』みたいなものを見せていけたら」と意気込む。
また、神志那は「今までHKTで“みんなで何かを作る”と言ったら、歌って踊る、ライブ、だけだった。何か一つ作品を作るのは今回が初めてなので、すごく楽しみです」と前を向いた。
上演日は20、21、23、27、28日の5日間。HKTは自らの手で新たなグループ像を見せることができるか。