鎌倉市、寛政3年製作「報国寺境内絵図」を文化財指定

紙本淡彩 報国寺境内絵図=市教委提供

 鎌倉市教育委員会は、古文書「紙本淡彩 報国寺境内絵図」を市指定文化財に指定した。江戸時代の1791(寛政3)年に製作されたもので、中世から近世にかけて境内の様子を詳細に残した資料は少なく、貴重という。指定は328件目。

 絵図は縦128.5センチ、横94.5センチ。仏殿や客殿、寺での生活を示す湯殿や馬屋などのほか、境内の平地や山林の坪数、建物規模が「境内平地坪数壱万二千三拾坪」「仏殿五間五間半」などと書かれている。広範な敷地や、現在の寺の景観を象徴する竹林も丁寧に描かれ、当時の様子を感じられる。

 90年に江戸幕府が本山の建長寺へ、境内の伽藍や坪数を示した絵図を提出するよう命じた。それを受け、報国寺をはじめとする末寺の境内絵図を取りまとめて幕府に提出した際、寺に残された控えとみられる。

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