2010年2月28日 杉浦が聖地でG1の借り倍返し! 真壁を下し「GHC」V2

【写真上】杉浦(右)と真壁の激闘が日本武道館の観衆を熱狂させた【写真下】杉浦のGHC王座V2を報じる2010年3月1日発行紙面

【プロレスPLAY BACK(111)】ノアが12日に約10年ぶりの日本武道館大会を開催した。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言下で4196人の観衆を動員。全9試合が行われ、団体にとって悲願だった“聖地帰還”は大盛況のうちに幕を閉じた。

メインのGHCヘビー級選手権では、プロレスリングマスターこと武藤敬司が王者の潮崎豪に電光石火のフランケンシュタイナーを決めて逆転勝利。IWGPヘビー級、3冠ヘビー級に続く3大シングル王座制覇を達成し、GHC史上最年長となる58歳1か月での戴冠という金字塔も打ち立てた。

2010年は2回の武道館大会が開催され、2月28日大会のメインではGHC王者の杉浦貴が、新日本プロレスの真壁刀義とV2戦を行った。

「ノア2月28日の日本武道館大会で行われたGHCヘビー級選手権は、王者・杉浦貴が挑戦者・真壁刀義を26分8秒、雪崩式五輪予選スラムで下し、2度目の王座防衛に成功した。同時に7月から8月に開催予定の『旗揚げ10周年記念興行』は合計4万人以上を集める3大会連続のビッグマッチとなるプランが浮上。各大会では新日本、全日本、インディ&フリー勢との全面対抗戦が実現しそうだ。

苦しい展開だった。意図的にレフェリーを失神させた真壁は、無法地帯と化したリング上でやりたい放題。セコンドの本間朋晃も介入し、杉浦の左脚は何度もイスで痛めつけられ、花道でパワーボムを食らい大の字となる。それでもキングコングニーを自爆させると、鬼の形相で反撃。コー☆ン(コーナーへのジャーマン)から飛龍原爆につなげた25分過ぎ、流れが大きく変わった。スパイダージャーマンを食らった杉浦は、気力だけで立ち上がる。ダメージの蓄積で立てない真壁にドロップキックを見舞うと、五輪予選弾の体勢へ。そのままコーナー上から叩きつけ、激闘に終止符を打った。

昨年のG1で敗れた借りを倍返しにした瞬間だった。初防衛戦の後藤洋央紀に続き、立て続けに新日勢を退けた杉浦は『ホッとしてます。悔しい思いをしたけど武道館で勝てばチャラになると思っていた』と胸を張った」(抜粋)

杉浦は翌年7月10日に潮崎に敗れるまで実に14度の連続防衛を果たした。この記録と通算防衛回数23回(4度戴冠)は、いまだに破られていない。真壁戦は前年6月に団体創設者の三沢光晴さんが亡くなってからまだ8か月しか経過していなかった。失望と不安の中で光り輝く未来を提示したのが杉浦だった。

50歳になった現在もGHCタッグ王座を保持し、そのタフネスさは「新鉄人」と称される。くしくも武藤は戴冠後に「三沢光晴はたぶん、俺を応援してくれたんじゃないかな」と語った。いずれは杉浦が王座に返り咲き、同様の言葉を吐いてくれるに違いない。

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