山口俊とスプリット契約へ ジャイアンツの投手事情は?

日本時間2月21日、ジャイアンツがブルージェイズからリリースされてフリーエージェントとなった山口俊と契約合意に達したことが明らかになった。メジャーでプレーする場合とマイナーでプレーする場合で年俸が異なるスプリット契約になるとみられている(ブルージェイズには317万5000ドルの支払い義務がある)。ジャイアンツは先発、救援とも戦力が充実しているとは言えず、山口が本来の実力を発揮できれば、開幕ロースター入りのチャンスは十分にありそうだ。

現在33歳の山口はメジャー1年目の昨季ブルージェイズで17試合に登板して25.2イニングを投げ、2勝4敗、1ホールド、防御率8.06、26奪三振を記録。デビューから2戦連続敗戦投手という最悪のスタートを切ったあと、8月は6試合で防御率1.54と好投したが、9月に9試合で防御率11.77と大きく崩れ、防御率8点台でシーズンを終えた。

山口の最大の強みは先発と救援の両方をこなせるユーティリティ性であり、ニック・トロピアーノやローガン・ウェブとスイングマン(谷間の先発、ロングリリーフ、ミドルリリーフなどを兼任する便利屋)の枠を争うことが予想されている。

先発ローテーションは契約最終年のジョニー・クエイト、クオリファイング・オファーを受諾して残留したケビン・ゴーズマン、新加入トリオのアンソニー・ディスクラファーニ、アレックス・ウッド、アーロン・サンチェスという顔ぶれになる予定だが、いずれの投手もここ数年は故障や不振に苦しんでおり、フルシーズンの活躍を確実に計算できる投手は皆無。山口にメジャー初先発のチャンスが巡ってくる可能性もある。

一方のブルペンはジェイク・マギーとマット・ウィスラーを補強したが、ベテラン中心の先発陣とは対照的に、こちらはメジャーでの実績が少ない若手が中心の構成。昨季予想以上の健闘を見せた若手投手が今季も同様の働きをできる保証はなく、DeNA時代にクローザーを務めた山口の経験が生かされる場面がやってくるかもしれない。

なお、ジャイアンツでは日本人メジャーリーガー第1号の村上雅則(1964~65年)をはじめ、新庄剛志(2002年)、藪恵壹(2008年)、田中賢介(2013年)、青木宣親(2015年)がプレーしており、山口がメジャーでの出場を果たせば6年ぶり6人目の日本人メジャーリーガーとなる。

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