神奈川県内有数の梅の産地として知られる小田原市曽我地区の梅干しを多くの人に知ってもらおうと、市内の梅農家の女性らが梅肉を使った「曽我の梅ふりかけ」を開発した。生産量は少ないながら増産を繰り返し、売れ行きも好調。生産者の女性らは「まろやかな酸っぱさで梅干しが苦手な人でもおいしく食べられる」と売り込んでいる。
ふりかけは同地区の梅農家の女性らでつくるJAかながわ西湘「梅の香女性部」が開発した。かながわブランドに選ばれている「曽我の梅干し」に乾燥させた赤シソとニンジンで彩りを加えた。全て地元産の食材を使い、無添加で自然の味にこだわったのが売りだ。
梅干しを作る過程でつぶれたり破れたりして売り物にできなくなったものを有効活用しようと、女性部が1996年に発足した。第1弾として開発した練り梅「梅の香」は定番の人気商品に。さらなる新商品で商機を図ろうと4年ほど前にふりかけの開発に着手した。
当初は地元産シラスや足柄茶を入れる構想もあったが「梅を主役にしたものを作りたかった」と女性部の小室万里子部長。ふりかけはつぶした梅干しを24時間乾燥させ、1度に生産できるのは40袋程度。昨年12月に販売を開始したところ2週間ほどで完売した。
小田原では約600年前に後北条氏が城下で兵糧用として梅の生産を始め、JA西湘管内では年間約140トンの梅を生産する。曽我地区は仇討ちで有名な「曽我兄弟」のゆかりの地で、3万本以上が植えられた曽我梅林は梅の名所としても知られる。
ふりかけに使った梅は曽我兄弟の名前にちなんだ「十郎梅」。小室部長は「実も柔らかくシソ漬けもしない梅干しの原点。梅干しが苦手な人でもふりかけならご飯も進む。曽我の梅干しをぜひ味わってほしい」と話している。
ふりかけは1袋30グラム入り360円で、JA西湘農産物直売所「朝ドレファ~ミ♪」と下曽我営農経済センターで販売している。