【フェブラリーS】カフェファラオが強気の攻めでGI初制覇 ルメール「スタート前から勝つ自信がありました」

ルメールを背に1番人気に応えたカフェファラオ(右から2頭目)

東京競馬場で行われた2021年JRA・GⅠ開幕戦の第38回フェブラリーS(ダート1600メートル)は、1番人気に支持されたカフェファラオ(牡4・堀)が優勝。前走のチャンピオンズC6着敗戦から一転して、強気の競馬でGⅠ初制覇を成し遂げた。新ダート王誕生となったレースの詳細をリポートするとともに、今後の行く末を占う。

カフェファラオ復活Vの最重要ポイントは返し馬にあった。今回初装着となるチークピーシーズの効果を実感したルメール。近走での行きっぷりの悪さから、陣営はこの中間、調教で様々な馬具を使用して仕上げてきた。

さらに「冬毛が伸びていたチャンピオンズC当時とは全然違う。きれいだった」とフィジカル面も急上昇。それゆえ、名手は「スタート前から勝つ自信がありました」と言い放ったのであった。

レースを振り返ろう。最内枠のエアアルマスがダッシュ良く飛び出し、外からワイドファラオが馬体を並べていく。その2頭が後続をやや離して刻んだ前半4ハロンの通過ラップは46秒5。カフェファラオはルメールが多少プッシュしたとはいえ、3番手をキープできたのはチーク着用が効果てきめんだったということ。

とはいえ、堀調教師は「向正面で外の馬にぶつけられたし、ところどころで気を抜くそぶりがあった」と納得のいく走りではなく、今後への課題も残したが、直線に入ってからのダイナミックなフォームはやはり他馬とは一線を画すものだった。

「ちょっとずつ加速して、ラスト250メートルくらいでムチを入れた。ポテンシャルはやはり高いですね。GⅠを勝ててうれしい」と安堵の胸をなでおろした。

馬群を割って勢い良くエアスピネルが2着に入ったが、わずか0秒1差でも内容は完勝。本気で追えば時計は詰められたはずだし、そもそもまだキャリア7戦の若駒。押し出される形での1番人気だったが、今後のダート界を席巻していくのを予感させるには十分のパフォーマンスだった。

とはいえ、前述したように堀調教師の挑戦はこれからも続く。「まだ馬が喜んで走っている感じにはないし、チーク着用はあくまで対処法であって根本的解決ではありません。血統的にも将来は種牡馬に、と考えていますので癖があるようでは…。まだまだ隠し持ったものがたくさんあるし、これからもいろいろと確かめていきたい」と、さらなる高みへ向けて決意表明をした。

海外遠征が決して容易ではない時節ながら、カフェファラオの天命=世界進出を楽しみに待ちたい。

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