英国で行われる研究「ヒューマン・チャレンジ」やワクチン接種のボランティア制度に日本の医療従事者らが驚きを隠せないでいる。
今月17日、英国で健康的な人に人為的に新型コロナウイルスを感染させて開発中のワクチンの有効性などを調べる「ヒューマン・チャレンジ」と呼ばれる研究が、英倫理委員会に承認された。
近く開始予定だという同研究は、第1段階として18歳から30歳までの健康な人、最大90人に少量のウイルスを鼻に入れて新型コロナに感染させ、どれくらいの量のウイルスで感染するかや免疫システムがどのように反応するかなどを調べる。
被験者への報酬は66万円で、少なくとも2週間隔離され、その後も1年間経過観察が続くという。
さらに新型コロナワクチンの1回目の接種を終えた人数が1500万人を超えた英国では、医療従事者のほかに医療資格を持たないボランティアもワクチンの接種を行っている。英国では、高卒以上の知識があり、犯罪歴がなければ15時間のオンライン講習を受けるだけで接種に関われるよう法律が改正されたという。
新型コロナワクチンは筋肉注射で、筋肉に直接針を刺すものだが、万が一深く刺しすぎて神経に当たってしまうと、まひする可能性もある。
医療従事者は「ワクチンの副反応など明らかになっていないことが多いだけに、アナフィラキシー(臓器や全身にアレルギー症状が現れ、命に危機が生じ得る過敏な反応が出ること)が起きた場合にボランティアがきちんと対応できるのかなど不安要素はたくさんある。いくら医療従事者が不足していても日本では絶対にあり得ない。『ヒューマン・チャレンジ』も倫理的に考えてどうかと思う」と指摘する。
賛否両論ある英国の試みだが、今後の結果が注目される。