第8回「レズ風俗におけるラブホテル事情」

レズ風俗キャストゆうの 「寝る前に、すこし話そうよ」

女性と女性がふたりっきりで過ごすビアンコース、たいていはその場所としてラブホテルを選びます。

ラブホテルって、わくわくしますよね!

私の場合、レズっ娘グループの本拠地でもある大阪ミナミをご案内することが多いです。はじめて指名するキャストでビアンコースをご利用になる場合にかぎり、60分のデートを別途料金で追加できるオプション"デート60分"については前に書きましたが、街なかでお茶をしたりショッピングをしたりして過ごします。大阪以外のところから来てくださるお客様も多いので、ちょっとした観光案内気分です。

ミナミは本当に便利なエリア、デートするところには事欠きません。そして、ラブホテルもいろんな選択肢があります。デートコースにはホテルへの移動時間をも含まれますから、アクセスのよさは大事なんです。なるべくスムーズに、ふたりの時間にシフトしたいですからね。

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選択肢が多いと、迷ってしまいます。何度もリピートいただいてるお客様なら「今日はあそこに行ってみたい」「あそこがよかったから、また行こうか」とお話して決めることもありますが、はじめてご利用の方、土地勘のない方はどうぞキャストにお任せください。

なかには「女性同士でラブホテルに入っていいの?」と心配される方もいますね。

ミナミエリアのラブホテルは、女性同士で入って断られることはありません。

最近では「女子会プラン」などを設けているホテルも増えています。お客様から「基本はお任せだけど、女子会プランがあるところがいいです」とリクエストされることもあります。そのほうが心理的に入りやすいということでしょう。

リクエストはどんどんいっていただいていいんです。いえ、むしろいってほしい!

内装が落ち着いた雰囲気がいい、とか。

お姫さまっぽい、かわいいところがいい、とか、

お風呂が広いところがいい、大きなテレビがあるところがいい……とか。

私にお任せいただけるなら、できるだけ自分にとって使い勝手のいいホテルへご案内します。

使い勝手にもいくつかポイントがありますが、ひとつは「ホテルの建物に裏口があるかどうか」です。表通りに面した入口しかないと、どうしても人目が気になることがあります。お客様によっては職場が近いなどの事情もあるかもしれないので、事前の確認は欠かせません。フロントで受付の人と顔を合わせたくないというお客様もいます。

私がメンバーカードを持っているホテルだと、少し割引になったり、ウェルカムドリンクが出てきたりといった特典がついてきます。ウェルカムドリンクがあればふたりで乾杯できるので、私も気に入っています。

使い勝手がよく、私が慣れているホテルでは、スムーズに支度を整えられます。

部屋に入ったあとはお客様にソファやベッドに座っていただき、ドリンクを飲みつつ、いろんなお話をします。とても緊張される方が多いので、少しずつこの状況に慣れ、リラックスしてもらいたいのです。

キャストはそうしておしゃべりしながらも、着々と準備をします。お風呂にお湯を張ったり、タオルやバスローブを用意したり、ベッドを整えたり……。私たちの時間はかぎられています。そのなかでベッドで過ごす時間の割合をできるだけ多くするために、準備はスムーズに行う必要があります。

かといって、せかせかするのは味気ないですよね。

だから、私たちキャストはどのラブホも熟知しておく必要があります。

お風呂の広さや機能。

お湯の温度調節はしやすいか、ジェットバスがあるか。

タオルの枚数や、お風呂あがりのスリッパの有無。

備え付けのアメニティは何があるか。

ベッドサイドの照明やBGMは操作しやすいか。

グラスやティーカップがちゃんと用意されているか。

などなど、挙げればキリがないほどです。部屋の特徴も備品も、ホテルによって異なりますからね。知っていればもたもたすることはありません。

ある日、事務所で居合わせたキャストとこんな話で盛り上がりました。

「あそこのホテル、お風呂が○○○なんだよね……!!!」

何度も利用しているからこそわかる、"ラブホあるある"。これは盛り上がります。夜どおし酒を交わしながら朝まで話せるんじゃないかと、ふたりで大笑いしました。キャスト同士でラブホについての情報交換をすると、ためになるなぁと感じたものです。

ホテルにあるものですべてが足りるとはかぎりません。私自身は、いつも化粧ポーチに洗口液や歯ブラシセット、口臭予防のグッズなどを常備しています。ハンドクリームや化粧水などもひと通りそろえています。お客様がご自身の衛生用品をお持ちになることもあります。

お風呂ではできるだけ肌にやさしい泡で洗い合いたいし、すてきな香りでリラックスもしたいので、お気に入りのソープを持参しているキャストもいます。

ここで過ごす時間を、特別な時間とするために……。次いつ逢えるかはわかりません、次があるのかもわかりません。だからこそ、この時間、空間を忘れられないものにしたいのです。

私たちキャストはそのために、"ラブホテルのプロ"でもありたいと思っています。

……つづきは、また次の夜にここで逢ってお話しましょう。

ゆう:

永田カビ著『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』(イースト・プレス)のモデルになった現役キャストで、2008年から在籍するベテラン中のベテラン。レズっ娘グループ全店の新人講習スタッフを兼任する。 https://tiara.ms/cast/cast.php?no=00025

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