コロナ禍で変わる生活~考えられる健康二次被害~

新型コロナウイルス感染症の拡大から、1年以上がたちました。
この1年は、私たちが想像していなかった変化が数多くありました。
筆者は管理栄養士としてメタボ改善のための保健指導を行っています。
そのなかでも「在宅勤務になり運動量が減りました」「ストレスでコロナ太りしました」「ジムに通うことを控えるようなりました」などの声を多く聞き、感染予防と心身の健康の両立についてよく考えさせられました。
「コロナだから今はしかたがないですね」とつい言ってしまいそうになりますが、コロナ禍が長期化し、新型コロナウイルスについてさまざまなことが明らかになるにつれ、そうは言っていられないように感じます。
今回は、生活様式の変化により懸念されている健康二次被害とその対策についてわかりやすく紹介します。

肥満・生活習慣病はコロナの重症化を招く

コロナ流行初期、スポーツジムでのクラスター発生がメディアでも取り上げられていました。
2020年5月の緊急事態宣言の解除後も、マスクをして運動するやりにくさから、それ以降利用を控えた方も多いようです。
これまでと生活が大きく変化したことによるストレスを、食べることで解消しようとする人も多く、「コロナ太り」も多く聞かれました。
自己認識のレベルではありますが、もともとやせ型だった人や標準体型だった人とくらべ、肥満傾向だった人の方がこのコロナ禍で体重が増えたという調査結果が出ています。
つまり、もともと肥満傾向だった人は、コロナ禍でさらに生活習慣病のリスクが高まったということです。
生活習慣病には、新型コロナウイルス感染症を重症化しやすいとされる糖尿病や高血圧、肥満などが含まれます。
「コロナの時期で外に出られないから多少の体重の増加はしかたがない」と思っているうちに、こうした状況は1年以上経過しています。
この間の運動不足と過食で健康状態の悪化が懸念され、コロナに感染した際の重症化リスクを上げてしまっている可能性もあります。
ウォーキングなどの適度な運動はもちろん有効ですが、YouTubeなどの動画サイトでは自宅の中でできるエクササイズも数多く配信されています。
体重が増えた人こそ、自分にとって続けやすいもの、習慣化しやすいことを探してみる工夫が必要です。
厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、新しい生活様式において体を動かす工夫が紹介されています。

健康情報サイト「e-ヘルスネット」

「受診控え」は重大な病気の発見を遅れさせる

厚生労働省では、なんらかの持病があり定期的に受診をすべき人が過度に受診を控える「受診控え」に注意を呼び掛けています。
また、生活習慣病の健診やがん検診も、重大な病気の発見が遅れてしまう可能性があります。
医療機関では院内感染防止のガイドラインに基づき感染防止対を徹底しており、安心して受診をしてほしいと呼び掛けています。
保健指導を行っていても、健康診断で産業医からの受診勧奨をされたにもかかわらず、受診を控えているという声も聞きます。
厚生労働省では、「上手な医療のかかり方.jp」の「新型コロナウイルス対策を踏まえた適切な医療機関の受診について」で情報発信を行っています。
従業員の方に適切な受診を呼び掛ける際には、これらの情報を踏まえるといいでしょう。

コロナ対策を前提に、コロナ以外の病気にも気を付ける

「新しい生活様式」「withコロナ」という言葉もすっかり定着しました。
この1年、職場として、また個人としてコロナ感染予防の対策をした人は多かったことでしょう。ただ、普段から気を付けるべき病気のリスクも忘れてはいけないと思います。
「今は控えた方がいい」「時期を見て」と言っているうちに1年経ち、他の病気のリスクを増大させてしまったり、大きな病気の発見が遅れてしまうことは、ぜひ避けてほしいものです。
コロナ感染対策とあわせて、コロナ以外の病気の予防・早期発見も行っていくことを、会社としても推進してほしいと思います。

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