きょうから2次試験

 入学式からずっと休校や自宅学習が続いていたのだろう、埼玉の中学1年生はその日の新鮮な衝撃と喜びを31音に詠んだ。〈画面越し毎日見てた担任がデカくてびびる初登校日〉▲〈「こ」と打ってコロナと予測変換しスマホまでもがコロナ禍にいる〉(東京・高3)。手元のパソコンが、よく似た症状に見舞われている。今年の「現代学生百人一首」(東洋大主催)入選作品から▲〈「行ってきます」奇数の君からライン来て「気をつけてね」と偶数の私〉(神奈川・高1)は分散登校。不安と隣り合わせで、窮屈で手探りで、誰にも先が見えない…社会も学校もそんな1年を過ごしてきた▲明るさを失わない姿には救われる思いだ。千葉の高3は〈リモートで祖父母の家におじゃまして電子マネーでこづかいもらう〉とちゃっかり。〈リモートで遅刻欠席ゼロだけど下はパジャマの校則違反〉は東京の中3▲きょうから国公立大学入試は2次試験。少し離れて座る隣の受験生は同じ場所を目指すライバルだが、大変な時間を乗り切ってこの日を迎える戦友でもある▲試験場で目が合ったら、マスク生活で磨きを掛けたアイコンタクトで笑い交わしてみよう。神奈川の高1が皆の思いを代弁している。〈この先に今年があって良かったと思える日々があると信じて〉(智)

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