移住先でまちの映画祭の立役者に!原動力は「このまちをつくってきた人たちの役に立ちたい」

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岡山県真庭市の勝山まちなみ保存地区の中ほどにあるレンタルスペース。旭川に面した部分は、かつて高瀬舟の船頭が利用した舟宿だったということから、現在もFUNAYADOの名称で親しまれています。今回取材をした黒川愛さんは、そこを管理する(一社)やまのふね代表理事でもあります。

黒川さんは、FUNAYADOの管理をしつつ、勝山町並み保存地区や、その先にある真庭市立中央図書館でのイベント運営に関わっています。中央図書館映像シアターで開催される「月イチ映画会」をはじめ、「ポーランド映画祭2019 in 真庭中央図書館」、「ドイツ映画祭2020 in 真庭中央図書館」など映画上映の分野では、特に周囲から頼りにされる存在です。

勝山町並み保存地区にあるFUNAYADO

映画に導かれ勝山に魅かれ

子どもの頃から外国や映画が好きだったという黒川さんは、高校卒業後はアメリカの大学に進学し、勉学に励みながら、映画館や映画祭のスタッフとして映画に関わる暮らしをしていました。その後、日本に帰国した黒川さんは、企業での仕事を経て、映画祭などを行う仕事に就きました。「やっぱり、映画のことがしたいという気持ちがあって。出張でカンヌに行ったりしていました。華やかだけど、大変な仕事でもありました」と、黒川さんは話します。

しかし、転機が訪れます。「仕事をしている内に腰を悪くしてしまって、映画館に座っていられなくなったんです。映画が好きで仕事してたのに…。このことで転職を考えました」。次の仕事のことを迷っていた中、仕事仲間と一緒に旅行に行くことになりました。その行き先が真庭だったのです。

黒川さんが普段いるFUNAYADO事務室

迷いを抱える中、真庭を訪れた黒川さんでしたが、「温泉に行けるし、勝山の町並みが本当に素敵で、ここに住みたいって思ったんです」と、すっかり真庭が好きになってしまったとのことです。黒川さんは定期的に真庭を訪れるようになり、真庭の映画愛好家たちの団体「シネマニワ」のメンバーとも交流を深めていき、ついに、真庭市への移住を決意したのです。

一生懸命なまちの人たちの役に立ちたい

黒川さんは、移住してからの10年間、シネマニワの活動や、映画監督・山崎樹一郎さんの映画づくりのサポート、図書館の活性化を行う中央図書館サポーターズの活動、FUNAYADOを運営する法人の立ち上げなど、映画や地域に関わり続けてきました。2020年9月に開催された「ドイツ映画祭」でも、主催者の1人として東奔西走したり、ものづくり体験市として毎年行われている「勝山町並み・体験クラフト市」のスタッフとしてYoutube配信の企画を進めたりと、さまざまな活動をしてきました。

ドイツ映画祭では、7本のドイツ映画が上映されました。

その活動の原動力は何なのでしょうか。黒川さんは「移住して10年、いろいろな人たちに会いました。文化のこと、暮らしのこと、いろんなことを教えてもらいました。地域の人たちが一生懸命に残してきたまち。大好きなこのまちをつくってきた人たちの役に立ちたい」と、静かに話してくれました。

これから、どんなことをしてみたいかと尋ねたところ、今年も真庭で映画祭の企画を考えていること、勝山町並み・体験クラフト市をもっと盛り上げていきたいということ、そして最後に、「いつか、旭川に高瀬舟を浮かべて、人を乗っけて走行させるのが夢なんです。」と、笑顔で答える黒川さんでした。

FUNAYADOの窓から顔を出す黒川さん