「あぁ~これ、わかる、わかる!」
休日のリビング。約1カ月後に第一子の出産を控えた妻が、育児雑誌を開く記者の隣で声を弾ませた。
「知っておくと育児が楽しくなる」と題した特集記事。男児と女児の特徴について、具体例を挙げて解説していた。
〈物の距離を見たくておもちゃを広げて遊ぶ〉
〈遊びに夢中な時は身支度などに気が回らない〉
〈言葉にできないと手が出てしまう〉
男児をこう紹介する一方、女児はこんな見方を示す。
〈共感力が強い〉
〈相手の気持ちを敏感に感じ取る〉
〈よく人を見ていて、まねも上手〉
雑誌は大手出版社が発行する〝子育てのバイブル〟的存在。「脳科学のプロ」など専門家の意見に医師のコメントも添えられ、納得する新米パパ・ママは少なくないだろう。
しかし、見方を変えれば…。昨年11月の「国際男性デー」に合わせた企画で集まったのは、「男らしさ」を強要された男性たちの生きづらさを訴える声だった。当時と似た息苦しさに、思わず口にした。
「これって、決めつけ?」
女子はピンク、男子はブルーといった固定観念と同じように、無意識のうちにすり込まれている「女らしさ」「男らしさ」。ジェンダーギャップ問題の底流にある先入観ではないか。
保育士として6年のキャリアがある妻に聞くと、思わぬ答えが返ってきた。
「ある程度当たってる」
雑誌の解説を実体験に重ね、妻はうなずいた。