北海道でも進む養殖 本場も鮭からサーモンへ!?

けいナビ

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今週のテーマはサーモンの養殖。現状は海外からの輸入が多いが、サケの産地である北海道でも養殖の動きが進んでいる。

回転ずしの人気ネタ「サーモン」

サーモンは寿司ネタの中でも人気の一つだ。札幌の街中でも聞いたところ、マグロやエビといった人気ネタと並ぶ人気ぶり。中でも特に若い年齢層に人気があるようだ。

回転寿司店でもサーモンは人気だ。

現在、この店のサーモンの定番メニューは12品目。生サーモン、づけサーモン、大トロや炙り、さらにはサーモンロールまで。この店がオープンした2000年には2品目だけだったが、客の注文に合わせてメニューを増やしたところ、マグロの8品目を抑え、サーモンが最多に。コロナで持ち帰り客が増えているが、どのセットメニューにも必ずサーモンが入っている。

この店で使うサーモンはノルウェーなどで養殖した輸入品。年間で最大80トンを消費者に提供する。

この日は函館産サーモン、天然のサクラマスが入荷した。ベテランの職人が手際よくさばき、寄生虫のリスクをなくすため24時間冷凍したうえで、翌日に提供する。北海道を含めた国内産はまだ供給量が少ないため、定番メニューは輸入ネタだ。

「サケ」と「サーモン」どう違う?

ところでサケとサーモンは、どう違うのだろうか?

回転ずし店で使われるサーモンの和名を見てみると、「サケ」と「マス」が混在している。実はサケとマスは生物学的に明確な区別はなく、総称として「サーモン」と呼ばれているのだ。上記のサーモンは、養殖であればエサによって寄生虫管理がしっかりできるため、生で食べられる。

北海道・八雲町では二つの海で育つサーモン

道南の八雲町。日本海に面した熊石漁港内の岸壁そばにいけすがある。八雲町がブランド化に乗り出している「二海(ふたみ)サーモン」。ニジマス海面養殖の現場だ。

試験養殖は2年目を迎えた。この5メートル四方のいけすに去年12月、800グラムほどのニジマスを1,700匹投入した。3~5キロに成長した5月下旬に出荷する。順調に育てば、3トンほどの漁獲量になる。

養殖サーモン先進地の青森の水産会社から稚魚を導入。与えるえさも同社から買っている。飼育を担当しているのは町から委託を受けた桧山漁協の組合員、高橋聖治さん。普段はイカ漁がメイン。遠くは石川県沖まで漁に出るが、イカ漁が休みの間、漁協の依頼で今年から養殖に参加した。

日本海の厳しい環境で育つ二海サーモン。1日2回のえさやりの後は毎日、記録してデータに残す。ことしの年末には大型のいけすを追加して、規模を拡大する計画だ。

去年5月に初水揚げした二海サーモン。販売を担当する地元の水産会社、イチヤママル長谷川水産。タラコやホタテなどを扱うこの会社が二海サーモンを加工し、町のふるさと納税の返礼品として発送する。1年目の生産が順調だったため、八雲町内の直売店でも販売している。

直売店では刺身用の200グラムの商品が900円。脂の乗りが良く、臭みもない。試験販売段階なので値段もほかの国産の養殖トラウトサーモン並みだ。マイナス22度の冷蔵倉庫の中には、皮つきのフィレも。長谷川常務は「全国各地の市場に向けて発信できるよう協力したい」と話す。

二海サーモンのブランド化をすすめる八雲町は新年度、商標登録や国際認証の取得も検討する。岩村町長は「私は八雲地域に固執はしない。もう少しで近隣町村との協議会を立ち上げようと話を進めている」と話す。地元の水産会社の協力も得て、国産のシェアがわずか2~3%という回転ずしの市場も切り開き、量産化を図る。

サケの産地=北海道で養殖参入相次ぐ

十勝の大樹町。天然のシロザケの有力産地だが、ここ数年は秋サケの漁獲が大きく落ち込んでいる。

そんなサケの本場が去年から取り組み始めたのが、サクラマスの海面養殖。道が募集した試験事業を、大樹漁協青年部のメンバーが中心になって引き受けた。中心メンバーの高橋良典さんはサケの定置網漁が本業だ。漁に出ながら養殖いけすの世話をする。

去年5月から育て始め、12月に水揚げ。地元で試食会も開いた。秋サケの不漁を補うサクラマスの海面養殖。商業化すれば北海道初となる。今年5月からはいけすを4基に増やし、2,000匹を養殖する計画だ。再び12月の出荷を見込む。夏も水温が20度を超える日が少なく、養殖に向くというが、いけすのごみの除去など苦労はつきない。

まだ市場には出していないが、天然物が出回る春などを避け、年末商戦で需要が増える11~12月に照準を合わせる計画だ。2022年度までは調査・研究を進め、販路の開拓も模索する。

天然の海産物の漁獲量減少は北海道全体の悩みだ。イカの不漁が続く函館や、ロシアの排他的経済水域内でのサケのはえ縄漁が途絶えた根室でもサーモンの養殖に挑戦している。養殖サーモンの大口取引先、回転寿司店は「北海道産」に期待を寄せながらも、供給面が最大の課題だと話す。

規模を拡大し、海外からの輸入品との価格競争に挑むか、付加価値をつけてブランド化するか、これからは戦略も求められている。
(2021年2月27日放送 テレビ北海道「けいナビ~応援!どさんこ経済~」より)