海の世界遺産 モン・サン・ミッシェルが直面していた危機【地球派宣言】

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フランスにある、海の世界遺産「モン・サン・ミッシェル」。
海上のピラミッドとも呼ばれ、多くの人々が心のよりどころとして岩山に建つ修道院を訪れます。

ところが・・・。
この聖地は以前、砂に埋もれるという危機に直面していたのです。

島の歴史は700年代初頭にはじまります。
日本では奈良時代の直前です。
高さ80メートルの岩山に、大天使ミカエルのお告げで司教オベールが小さな礼拝堂を建てたのが、その始まりといわれています。

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建物は何世紀にもわたり少しずつ増築され、今日の巨大な修道院ができあがりました。

巡礼者たちは、干潮時にできる干潟を歩いて島へわたって訪れていました。
ところが約130年前、モン・サン・ミッシェルの様相を変える事態が起きたのです。

積もりに積もった砂・・・。
モン・サン・ミッシェルは、海ではなく砂に囲まれることになりました。

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原因は、巡礼者や観光客のために土を盛って作った2kmにおよぶ道路でした。
潮の流れが変わり、砂が堆積。
そのため、1年にわずか50日ほどしか海に囲まれなくなったのです。

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大潮になると、海が動き始めます。
潮が満ち、海に囲まれたモン・サン・ミッシェル。
これが本来の姿です。

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その後、モン・サン・ミッシェルの美しさを取り戻すために、再生計画が進められました。
130年前に作った道路を無くし、かわりに島まで橋をかけて、潮の流れを元に戻したのです。
2014年に橋は完成、総工費は約300億円でした。

さらに、川の上流にダムを作り、たまった水で砂を押し出すという計画も進められました。

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失った風景を取り戻すのには、莫大な費用と時間がかかるのです。

【地球派宣言アーカイブズ(2011年フランス)より】

広島ホームテレビ『みみよりライブ 5up!
地球派宣言コーナー(2021年2月24日放送)

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