八重山の学校給食からパンが消える? 製造業者が3月末で工場撤退 島内での供給は困難

 石垣市、竹富町、与那国町の小中学校向けに給食用のパンを製造するオキコ(西原町)が、3月末で石垣営業所兼工場を撤退することが26日、分かった。県学校給食会が代替業者を探しているが、給食用の量を供給できる業者が同地区内で見つかっていない。4月以降、八重山3市町の学校給食にパンが出なくなる恐れがある。 八重山では1週間に米を3回、パンと麺をそれぞれ1回提供している。地区内でパンが供給できなくなれば、米や麺の回数を増やして対応することになる。

 オキコは2017年7月、地元業者から事業を引き継ぎ、給食用のパン製造を始めた。供給数は1回で約6千食。給食のほか、スーパーやコンビニ、ホテルなどにも供給していた。しかし事業の採算が合わず、新型コロナウイルスの流行以前から撤退を検討していたという。

 県学校給食会は20年夏ごろ、オキコから撤退の申し出を受け、代替業者を探し始めた。しかし、1回に6千食を供給できる工場はオキコ以外に見つからなかった。小規模の業者にも打診しているが、供給量の問題があり、引き継げる業者は見つかっていない。

 同会担当者は「渡嘉敷や伊平屋などの離島では給食センターでパンを製造している。だが、八重山は児童生徒数が多いため、給食センターでの製造は厳しい。外部の大きい工場に頼らないといけない」と説明した。

 オキコの担当者は「コスト削減などいろいろな対策をしてきたが、今後の見通しも厳しいため撤退を判断した。給食の影響を受ける子どもたちには申し訳ないと思う」と話した。

© 株式会社琉球新報社