【IR考】汚職の恐れ「国と同じにしてほしくない」 横浜市副市長、強く否定「事業者との接触ルールある」

横浜市が、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の立地場所として想定する山下ふ頭=同市中区

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致推進事業費3億6千万円が計上された横浜市の2021年度当初予算案を巡り、26日に開かれた市会予算第一特別委員会で質疑が行われた。平原敏英副市長は「世界最高水準」でのIR実現に強い意欲を示した一方、汚職事件が市で起きる可能性を問われると、「国で問題になっていることと同じにしてほしくない」と強い口調で否定した。

 市は1月に事業者公募を開始。5月まで資格審査書類を受け付けており、2月15日には1者が審査を通過したと公表した。25日の市会本会議では、林文子市長が「今月から4副市長を含む全庁的なプロジェクトとして、区域整備計画の検討を開始した」と述べた。

 この日の委員会で横山勇太朗氏(自民党・無所属の会)から区域整備計画案への決意を問われた平原副市長は、「『どんなものでもいいからできればいい』という考え方は持っていない」と強調。「私どもの高い要求、民間の創意工夫を併せて世界最高水準となるIR基本計画をつくり上げていきたい」と力を込めた。

 一方、荒木由美子氏(共産党)は、IRに絡んだ汚職事件や、現在国会で取り上げられている菅義偉首相の長男らによる総務省官僚の接待問題などを挙げ、「こういうことは利権が絡んで起きている」として、市の防止策をただした。

 平原副市長は、「事業者との接触ルールを作っている。私たちのところではそういうことは発生しない」と断言。「仮に要求があっても、それは不当なことだからきちんと断る」と答弁した。

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