沖縄本島全6カ所の海水「プラスチック汚染」 採取物質の17% OIST調査

 【恩納】恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)はこのほど、沖縄本島周辺海域6カ所で海水に含まれる物質を調査し、17%がプラスチック由来と突き止めた。研究をまとめた論文が、昨年12月にオランダの学術雑誌「Science of The Total Environment」に掲載された。

 同大の研究チームが、県などと協力して18年9月に各地点で海水を採取し、含まれる物質の由来を分析した。6カ所全てでプラスチックの含有が確認された。中南部が北部よりもプラスチック含有が多くみられたが、工業化された地域(那覇市沖、19.6%)よりも住宅地周辺(中城湾、25%)の方が多くのプラスチック含有が見られた。ほかに名護湾、金武湾、辺戸岬の太平洋側と東シナ海側で採取した。

 海水に含まれていたプラスチックの75%以上はポリエチレン製で、釣り具やペットボトルのキャップ、ビニール袋などに由来するとみられる。

 沖縄周辺の海洋生息域でのマイクロプラスチックに関する国際的研究はほとんどないという。ウイルスのように小さな物をつまむ、「光ピンセット」の技術を応用して研究に取り組んだ。今回の研究では1.4マイクロメートル(1マイクロは1ミリの千分の一)のプラスチック片まで確認した。

 論文筆頭著者で、同大博士課程のクリスティーナ・リプケンさんは「新しい手法で、沖縄周辺のマイクロプラスチックの存在をより明確にできた」「リスクの分析や政策に影響を与える可能性もある。環境研究を発展させる一助になればいい」などと文書でコメントした。 
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