【新型コロナ】ワクチン接種「早く、円滑に、大勢に」 神奈川県内の自治体が準備加速

 いかにスムーズに、いかに大勢に─。新型コロナウイルスのワクチン接種開始を目前に控え、実務を担う神奈川県内の市町村が準備を加速している。「集団」「個別」「巡回」と各接種方式で工夫を凝らし、前例のないプロジェクトを成功させるための段取りを模索。効率化と接種率アップに向け、あの手この手で知恵を絞っている。
 
 「一刻も早く、一人でも多くをテーマにした横須賀モデルだ」

 横須賀市の上地克明市長は、市医師会、三浦半島病院会との連携で打ち出した接種推進体制に胸を張った。注目は地元の百貨店「さいか屋横須賀店」で実施する集団接種。市民になじみがありアクセスが良い上、「接種済証」の提示で買い物時に特典が受けられるサービスも検討中だ。同様の仕組みは商店街などにも働き掛けており、接種率向上と地域経済活性化の相乗効果を目指す。

 商業施設を会場とする試みには、流通大手・イオンも名乗りを上げている。対象は全国で約290カ所。県内では座間市からの要請に応じて「イオンモール座間」の多目的ホールを貸し出す。「地域の皆さんの利便性向上につながるのであれば協力したい」と担当者。他自治体からも要請があれば調整するという。

 一方、県西部では足柄上郡の5町がタッグを組んで集団接種会場を設ける動きが進む。大規模な医療機関が少なく医師数も限られる地域事情を背景に「小さな町が単独で集団接種をするのは難しい」(湯川裕司山北町長)として、大井町と山北町に2会場を開設。接種予約を受けるコールセンターも共同で設置する。

 厚木市はワクチンを余らせて無駄にしないよう、当日に連絡して接種を受けられる市民を自治会を通じて事前に確保。三浦市のほか松田、中井、葉山町などは接種会場への送迎バス運行といった移動手段の確保も検討している。

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