楽天・田中将はヤジ将軍時々イジられキャラ 周囲も絶賛の「無形力」

木下雄介(中央)と何やら話す田中将大

8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手(32)の「無形の力」が再評価されている。

今キャンプでは実戦2試合に登板。開幕カードの日本ハムとの第2戦(3月27日=楽天生命)登板に向け、順調にステップを踏んでいる。

現状について田中将は「(メジャーの)7年間で染みついているものもある。それが邪魔になる部分もある。そこは削ぎ落して新たに思い出してやらなきゃいけない。ただ自分が投げるボールは上がってきている。その課題と収穫がいい感じで出てきている」と語る一方で、この1か月を「また新しい場所で、やっていることも違う。新鮮な気持ちでやれていると思う。自分からコミュニケーションを取りながら、投球に関してもいろいろな方面からアドバイスをもらえたりしている。いい方向に行っているし、すごくいい1か月だったと思う」としている。

合流当初はバリバリのメジャーリーガーを見上げていた若手も、田中将が自らその目線に降りていって話しかけやすい環境、やりやすい環境を自然に作り出すことによって氷解。投手練習では〝ヤジ将軍〟となってゲキを飛ばし、一方ではイジられやすい雰囲気作りを率先して行っていた。

西武出身の石井貴投手コーチは「マー君と(松坂)大輔の共通点は、あれだけの投手なのにまったく偉ぶらないところ。すべてにおいて余裕があるから、自然と周りの人に対応できるんだろうね」と、その人柄を評価していた。

また長年の師弟関係にある則本昂が「練習に取り組んでいく中で、体のバランスとか姿勢がとにかくきれい。ランニングとかもそうですし体の使い方がうまい。改めてボディバランスは重要だなと思った」と語るように何気ない動作でも周囲に好影響を与えている。

この数値化できない「無形の力」を怖れているのが他球団のスコアラー陣だ。キャンプ、練習試合を通して楽天をチェックしていたスコアラーの一人は「マー君が与える好影響はチーム全体に及んでいる。練習を見ていても彼を中心に投手陣の雰囲気は良くなっているし、野手陣にも『今年は優勝するんだ』とスイッチが入っている。それだけのオーラを彼は持っている。人を惹きつける大らかな人柄も含めてチームが彼を中心にまとまっている」と警戒する。

「マー君、神の子、不思議な子」と言ったのは田中将の入団時の恩師でもある野村克也氏だが、人間的にも成熟した〝神の子〟が8年ぶりに降臨し、現場にもたらしているこの「無形の力」は計り知れない。

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