巨人・原監督が報道陣引き連れ「はらさんぽ」解禁 会話の中身は…

健脚ぶりも見事な原監督

巨人が1か月に及んだ春季キャンプを28日に打ち上げ、沖縄から帰京した。大きな故障者も出さず、ルーキーをはじめ主力組も順調な仕上がりを見せ、原辰徳監督(62)も合格点を与えた。異例の4か所で始まったキャンプとなったが、コロナ禍に対応した指揮官は、沖縄で報道陣との「原散歩」を〝解禁〟。そこには閉塞感が漂うコロナ禍を打破する思いも込められていた。

キャンプの総仕上げはDeNAとの練習試合(那覇)となった。坂本や菅野ら主力勢は順調に実戦を滑りだし、ドラフト1位ルーキーの平内龍太投手(22=亜大)や身長2メートルを誇る同5位・秋広優斗内野手(18=二松学舎大付)らも一軍キャンプを完走。FA加入した新戦力の梶谷や井納も快調で、実績組に食らいついた松原ら若手も必死にアピールを続けた。

チーム内の競争も激化し、原監督は「非常に天候に恵まれ、内容も充実して。仕上がりも例年になくいいところまで早めに来ているなという感じがします」とえびす顔で、宮崎キャンプでは「90点」としていた採点も「92点くらいでいいんじゃない? やや上がったというところでね」と口も滑らかだった。

コロナ禍でのキャンプとなった今年は異例のスタートを切った。一~三軍までを宮崎と沖縄だけでなく東京ドームとジャイアンツ球場に分散させ、1か所当たりの人数を減らすことで練習効率をアップ。臨機応変に対応したことも奏功したが、指揮官自身もタダでは転ばなかった。最たる例が沖縄キャンプでの散歩の〝解禁〟だ。宮崎では以前から練習後に球場から人通りの少ないルートを抜け、報道陣とともに宿舎まで散歩することは珍しくなかった。しかし、今年は宮崎での散歩の頻度も大幅アップし、球場が市街地にほど近い那覇でもほぼ〝皆勤賞〟だ。

それでも、コロナ禍で外出する人も少なく混乱もなし。宿舎ではほぼ缶詰め状態となるため、監督専用車で帰ることよりも散歩をしながら体を動かすことを選んだわけだ。

そこでざっくばらんに交わされた話題は、野球に限らず幼少期の思い出や読書にオススメの本、映画、酒のたしなみ方…と、ありとあらゆるジャンルに及んだ。一見すると野球に直接関係がなさそうであったとしても、球団スタッフは「昨年はメディアにも厳しい取材制限がかけられ、平時に比べて情報量は格段に少なかった。そして話題はコロナの暗い話題ばかり。少しでも明るい話題を世の中に発信してもらおうという思いもあったのでは?」と胸中を代弁した。もっとも、原監督と基礎体力がまるで違う報道陣の足はパンパンとなったが、限られた時間を有効活用する〝ミスター・ポジティブ〟らしいコロナ禍のキャンプだった。

最後は異例のキャンプを「けっこう不安なところがあったんですけど、それぞれが非常に有効に時間を使ったという点において、自分の中では良かったなと感じますね」と総括。リーグ3連覇と日本一奪回へ、上々のキャンプを終えた指揮官は徐々に勝負の鬼と化していく。

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