昨年10月に刺されたパドレス・ファム「プレーできるのは幸運だ」

パドレスのトミー・ファムは昨年10月、サンディエゴ市内で腰のあたりを刺されるという事件に巻き込まれた。医者には「筋肉が少なければ、命を落としたり、深刻な後遺症が残った可能性もある」と言われたという。野球選手としてトレーニングに励んでいたおかげで命拾いしたファム。大好きな野球を続けられるだけでなく、スプリング・トレーニングを万全の状態で迎えることができた。「こうしてプレーできるのは幸運だよ」とファムは語っている。

ファムはチームメイトが「アイツは1日中、野球の話をしたがっているんだ」と語るほどの野球オタクである。1日に何時間もデータやビデオを眺め、常に打撃フォームの研究をしているという。しかし、そんなファムが大好きな野球を2度とプレーできなくなる可能性があった。昨年10月に腰のあたりを刺されたのだ。病院に搬送され、100針以上を縫う手術が必要であることを告げられたが、幸いにも今季以降の選手生活には影響がなかった。

この事件以外にも、昨季はファムにとって散々なシーズンだった。新型コロナウイルスに感染して夏季キャンプのスタートに間に合わず、シーズン序盤は前腕の不調に悩まされた。さらに、8月には有鉤骨を骨折して手術を受け、シーズン終了後には手首の手術も受けている。「ひどい1年だった」と昨季を振り返ったファムだが、これらのトラブルを過去のものにしたいと前を向いている。

ファムにとって今季はFA前の契約最終年となる。来季以降、満足のいく契約を得るためには昨季の不振を脱し、好成績を残すことが必要だ。そんななかでファムは大型補強で強化された自軍の戦力に手応えを感じており、「僕たちは今季、大きな期待を背負っている。究極の目標に向かって頑張りたい」とワールドシリーズ制覇を目標に掲げている。ファムが散々だった昨季から一転して最高の1年を過ごせば、チームもおのずとその目標の達成に近付いているに違いない。

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