急死のシーザリオを福永祐一が追悼「世界中どこに行っても勝負できると初めて思わせてくれた」

05年アメリカンオークスを制したシーザリオの背で福永はガッツポーズ

名牝として名高いシーザリオ(牝19)が27日、急死した。繁殖牝馬としてノーザンファーム(北海道安平町)で供用されていた同馬は子宮周囲の動脈断裂による出血性ショックのため、この世を去った。輝かしい競走成績だけでなく、繁殖としても3頭のGⅠ馬を産んだ歴史的牝馬の死にサークル内に衝撃が走った。

「とても残念です。競走馬としてのみならず、母としても3頭の種牡馬を出して、本当に偉大な馬だと思います。世界中、どこに行っても勝負できるだろうと、初めて思わせてくれた馬でした。競走馬生活は短かったものの、母としても結果を残し、これからもっと頑張ってくれると思っていただけに非常に残念です。今も(産駒の)ルペルカーリア(牡3・友道)とコンビを組ませてもらっていますし、これからはシーザリオの子供たちと、その名声を高められるように頑張りたい。安らかに眠ってください」

2004年12月25日デビュー(角居勝彦厩舎)のシーザリオは通算6戦5勝。その勝ち鞍すべてで手綱を取った福永祐一は惜別の辞で愛馬の死を悼んだ。

無傷の3連勝で05年のクラシックへ。1番人気に推された桜花賞(吉田稔騎乗)こそラインクラフトのアタマ差2着に敗れたが、続くオークスを上がり33秒3の強烈な末脚で差し切ってGⅠ初制覇。続くアメリカンオークスも快勝し、日米オークス制覇の歴史的偉業を達成。同年のJRA賞最優秀3歳牝馬および最優秀父内国産馬(当時)を受賞した。

将来を嘱望されていたが、帰国後に右前外側繋靱帯炎を発症し、長期休養へ。その後も脚元の故障で再起はかなわず06年4月に現役を引退した。

その後はノーザンファームで繁殖牝馬として供用され、ジャパンCを制したエピファネイア(父シンボリクリスエス)、朝日杯FS優勝のリオンディーズ(父キングカメハメハ)、先日引退した皐月賞馬サートゥルナーリア(父ロードカナロア)と3頭のGⅠ馬を送り出した。

28日に勇退した角居勝彦調教師は「昨晩(27日)に知らせを受けました。えっ!と驚くとともに、自分の引退に合わせたのかという気持ちにもなりました。おなかに子供もいたのに残念です(ロードカナロアの子を今春出産予定だった)。活躍する子供たちも出してくれて、馬生を通して僕の調教師業を支えてくれた馬でした。エピファネイアなどの子供たちが、種牡馬としてこれからも活躍してくれることを願っています」と語った。

ノーザンファーム・吉田勝己代表「突然のことでただただ驚き、胸を締めつけられる思いです。日米オークス制覇の輝かしい競走実績だけでなく、初年度産駒から3冠牝馬(デアリングタクト)を出したエピファネイア、産駒(ピンクカメハメハ)が先日のサウジダービーを制したリオンディーズ、そして今年からスタッド入りしたサートゥルナーリアと、3頭の種牡馬を産んだ彼女には感謝の言葉しかありません。牧場の礎を築いてくれたシーザリオが亡くなったことは誠に残念でなりませんが、今は安らかに眠ってほしい思いでいっぱいです」

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