開幕ローテ狙うソフトバンクの逸材・杉山 徹底的にこだわる〝2つのゾーン〟

「次期エース候補」と周囲の期待も高いソフトバンク・杉山

最速157キロを誇るソフトバンクの未完の大器・杉山一樹投手(23)が〝2つのゾーン〟にこだわって開幕ローテ入りを狙う。

工藤公康監督(57)をはじめ首脳陣から「将来は千賀クラス」と期待をかけられる逸材は、2日の中日とのオープン戦(ペイペイ)に最長で5イニング程度を投げる予定。かねて先発枠での生き残りを志願してきた男は猛アピールを誓った。

1つ目の「ゾーン」はストライクゾーン。先月23日の対外試合・西武戦で先発した杉山は、初回3四球と乱れた。1日、投手指名練習で右腕の調整を見守った森山投手コーチは「コントロールが課題。四球からは何も生まれない。打たれた時に反省できることはあるが、四球は何も結果がないし、野手も何もできない。強いボールもあるので、ゾーンの中で勝負していってほしい」と注文をつけた。

挽回に燃える23歳も課題克服に重点を置く。「ゾーンに行ったら必ず振ってくれる」と自信を持つのが、新球カットボール。カウントを稼ぐ球としても、勝負球としても使える新兵器を軸に課題を潰す投球を思い描いた。

もう一つの「ゾーン」は、バロメーターとも言える投球中の「無の境地」だ。杉山には、入団1年目に師と仰ぐ千賀滉大投手(28)から教わった心得がある。「投げてから(捕手の返球を受けて)次の球を投げるまでの7~8秒の間で配球とか、打者の反応を瞬時に判断しないといけないと言われた。自分のやるべきことに集中できるようになってから、周りの声が良い意味で聞こえなくなったんです」

マウンド上で〝無音状態〟に近ければ近いほどゾーンに入っている証拠。上限1万人の有観客試合となる久々の実戦で、サイレントな世界を堪能するつもりだ。

千賀、東浜が故障で出遅れ、新外国人投手の入国が不透明な状況で巡ってきた大チャンス。「(先発志願の)意志をくみ取ってもらえるように、プラス材料を1つでも残したい」。すべてはその右腕一本にかかっている。

© 株式会社東京スポーツ新聞社